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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 16(1/3ページ)

2012年10月25日付 中外日報
地震直後に止まったままの体育館の時計。「広い大きい太平洋に…」と児童会歌の詞が掲げられている(宮城県名取市、閖上小で)
地震直後に止まったままの体育館の時計

バラバラにされた心の傷

物語りと風景再現でケア

「初めに警報で公民館に逃げたけど、危ないので中学校の3階に避難した。走ってたら後ろからガソリンの臭いがして……」。甚大な津波被害で沿岸部が壊滅した宮城県名取市閖上の小学生男児は、桑山紀彦医師(49)にそう話した。「そしたら間もなく津波が来て、たくさんの人たちが流されるのが窓から見えた。俺の髪切ってくれた床屋のおばちゃんも」。つらい体験をゆっくりたどる。

同市内の東北国際クリニック院長で心療内科医の桑山医師は、震災直後から地元で子供も大人も含めた多くの住民の心のケアをずっと続けており、「心の傷から解放されるためには、記憶を取り戻して吐き出し、語ることがまず重要です」と力説する。

平地にある医院は波に漬かったが、地域で唯一残った医療機関として24時間、電気も水道も止まった中でヘッドランプをつけて診療した。1カ月にわたり、無料で。救急で自衛隊員の負傷の手当てなどもし、何とかガソリンを調達して避難所の巡回診療もした。

そこでは、特に子供たちが深刻な状態だった。近所の人が「助けて」と叫びながら津波にのまれるのを目撃した。だが避難生活で親や大人たちは大変なので、大丈夫なそぶりをし何も語らず我慢していた。