ニュース画像
多くの人が見守る中、彰義隊墓所で盛大に営まれた150回忌法要
主な連載 過去の連載 エンディングへの備え
苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
購読のお申し込み
新規購読キャンペーン
紙面保存版
トップ> いのち寄り添うリスト> 心のケア・宗教の力 8
いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 8(1/3ページ)

2012年9月29日付 中外日報
「カフェ・デ・モンク」で仮設住宅の住民と話し合う川上牧師(奥左)の言葉は優しい(3月、宮城県石巻市で)
「カフェ・デ・モンク」で仮設住宅の住民と話し合う川上牧師(奥左)の言葉は優しい

宗教者は聴くだけでなく

応答プロセスこそ仕事

「心の相談室」に電話相談をしてくる人たちの訴えが入り組んで具体的なのは、そこにそれぞれの人生の「物語」があるからだ。「死んだ人の霊に取りつかれている」という30代の女性は失恋にも悩み、占い師に頼ってその費用で借金に追われていた。

日本基督教団仙台市民教会の川上直哉牧師(38)は日に7、8回も受話器を握り、1度に2時間も話を聞いた。「死にたい。彼の心を霊視してほしい」という。ただひたすら「聴く」わけではない。「霊って何ですか?」と問い返す。相手の状況を推し量り、「今から死にます」には「話を聞きなさい」と諭す。

長時間やりとりし、「ユタ(霊媒師)に依頼するならお金をため、そのためにしっかり働きなさい」と助言した。だが後日、「仕事を辞めたい」。「辞めないで、しんどいなら家で寝てなさい」。3カ月応答し続け、結局は非常に厳格な父親が問題だと分かった。

相談を受ける立場が激しく揺さぶられることもある。介護職の40歳前の男性は地震の日、何とか仕事を終えて帰宅すると妻と娘が津波で行方不明になっていた。2週間もたって見つかり、変わり果てた遺体をさすっていたが、親戚は早く火葬せよと責め、孤立感を深めた。仕事先で老人を見ると「なぜ、ずっと若いうちの子が……」と恨みに思ってしまう、と苦悩を切々と打ち明けた。

だが話すうち「頭痛持ちのおばあちゃんに接していて、偏頭痛だった妻を思い励まされました」とも。川上牧師は「周りは変えられなくても、ご自分は変えられますね。よかった」と受けた。