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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 6(1/3ページ)

2012年9月25日付 中外日報
「カフェ・デ・モンク」を開いても、男性は外にいることも多い(3月、宮城県石巻市で)
「カフェ・デ・モンク」を開いても、男性は外にいることも多い

般若の智慧・慈悲の行い

相手とつながってる感覚

宮城・石巻の開成仮設団地で3月に開かれた「カフェ・デ・モンク」には、地元で自坊の曹洞宗高福寺が一部損壊しながら活動する吉田裕昭住職(42)が参加していた。支援を始めたころ、リーダーの同宗通大寺・金田諦應住職(55)に「抹香臭いのは駄目」と言われた。「被災者一人一人の事情が異なり難しいですが、粘り強さが大事」

活動を続け、「葬式仏教と批判されたような以前の在り方から、『そばにいてくれる人』に近づけたかなと思う」。振り返って、従来の檀家との付き合いも不十分だった、宗門で研修会を受けても実際には思うようにはいかないものだと痛感したという。僧侶として生きてきた道を懸けて被災者に伴走する。

作務衣姿の別の青年僧侶は、慣れた様子でお茶を入れ仮設住民の話し相手をする。浄土真宗だが頭は剃髪。「こちらではこの方が親しみやすいのです」。大阪からこのカフェに通い続けていたが、昨年11月に決意して宮城に引っ越してきた。

初めて参加した林浩司牧師(76)は、米国で病院チャプレンを長く務める。自己紹介に続いて高齢の主婦に「お孫さんは?」。「こないだ遊びに来てくれたわ」。「ご趣味は?」「編み物。でも機械が家ごと流されてしまって……」。うまく話を引き出す。「こういう場が嫌だって人も多いのよ。でも、気持ちを乗り越えて出てこなくては……」。安住の地のめどもないが、被災者も懸命に前を向こうとしている。