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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 5(1/3ページ)

2012年9月20日付 中外日報
「カフェ・デ・モンク」で仮設住宅の主婦らの話を聞く金田住職(3月、宮城県石巻市で)
「カフェ・デ・モンク」で仮設住宅の主婦らの話を聞く金田住職

救いを必要とする人には

生身でぶつかるしかない

4千人もの死者行方不明者という空前の被害が出た宮城県石巻市は、何度訪れても廃虚はそのまま。人々が生活を営んだ街は広大な空き地が草原のようになっていた。海辺に近い門脇地区では、津波と大火災で残骸と化した門脇小の校舎の隣に、壊滅した寺院が無残な姿を見せる。倒れかけた樹木の高い枝々にはなお生活用品や衣服の切れ端が引っ掛かったままだった。

当時、何百人もの避難者を受け入れた別の寺の住職は、地獄のような被災地区から往復3時間をかけ飲料水確保に山を越えた。その出向いた先の穏やかな風景に、「もしかしたら極楽は日常の中にあるのかもしれない」と感じたという。

海から離れた市街地では「がんばろう石巻」「○○企業グループは一丸となって復興に取り組みます」といった旗やポスターが目に入るが、被災した30代の男性会社員は「何もなくなった所は再建のめども立たず、元の場所でやれるのかさえ不明だ。なんともなかった地域は元通り営業していて落差が激しい。それが被災者を追い詰めています」と苦悩を語った。

その街の所々に、身を潜めるように散在する仮設住宅。うち比較的大規模な開成仮設団地は、市中心部から4キロの郊外にある。数十棟のプレハブの壁には、明るい太陽や木々、鳥や魚の絵が大きく描かれている。だが表で遊ぶ子供や行き交う住民の姿は見えず、ひっそりとしている。