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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 4(1/3ページ)

2012年9月15日付 中外日報
震災から1年半近くたってもまだ一帯が水没し、家々の残骸が放置されている地域も多い(8月、宮城県石巻市で)
震災から1年半近くたってもまだ一帯が水没し、家々の残骸が放置されている地域も多い

みんなつながっている命

文句吐き出す傾聴カフェ

「自然・宇宙は何と残酷で、美しく悲しいことか。今、生きている自分も、同じように星の光に照らされている犠牲者たちもひとつの命だ」

地震当夜の暗闇で、夜空を仰いで彼方の海辺に遺体が漂う光景を思い浮かべた宮城県栗原市、曹洞宗通大寺の金田諦應住職(55)は、「私とあなたの区別が消滅する感覚」にとらわれた。それは数十年前、インドの聖地ブッダガヤで星空を仰いだ時に抱いたのと同じだったという。

後に金田住職はそれを「大乗仏教の、法華経の世界・宇宙観でしょうか」と語る。四十九日にその南三陸の海辺に祈りの行脚をした時、廃虚の傍らに山桜がきれいに咲いていた。「目の前の惨状も、鮮やかな花も、同じ神仏の力なのだ」。僧侶としての信仰の一番深い所に立った気がした。

つながっている命に祈り、寄り添う。そんな思いで行いが始まる。次の日から、生き残った人々のために僧侶仲間と支援活動を始めた。

炊き出しに孤立集落を回っている時、こんなことがあった。避難所で献身的な活動をしていた医師グループに、引き揚げ際に被災者が食って掛かった。「帰るのか。俺たちを見捨てて帰るのか!」。1時間近くやりとりし、最後はすがり付いて泣き出した。

苦悩する医師らには別の現場もあり、いつかは去る時期が来るのは皆、分かっていた。金田住職は「医者はここまで頼りにされているんだ」と実感し、宗教者である自分の全身全霊を懸けて向き合う覚悟を決めた。