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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

支える思い 15(1/3ページ)

2012年8月30日付 中外日報
吉田さん(左)が開く手芸の会では主婦たちの笑い声も響く(岩手県釜石市鵜住居の仮設住宅で)
吉田さん(左)が開く手芸の会では主婦たちの笑い声も響く

孤立・孤独感が深刻化

斜めから支える宗教者

岩手の釜石や大槌で仮設住宅住民への支援を続ける「サンガ岩手」代表の真宗大谷派本誓寺僧侶吉田律子さん(65)は、震災から1年以上がたって新たな問題が深刻化しているのを痛感する。人々の孤独感、孤立だ。

被災直後は雑居状態の避難所で人間関係づくりに悩んだ。見知らぬ人といやが応でも一緒に暮らす毎日。互いに気を使い合い、やっと仲良くなれたと思ったら6月には次々に仮設住宅へ移り、またバラバラになった。両隣とも誰とも知らない。

もともと地域のつながりが深く、何世代にも及ぶ近所付き合いが濃厚なこの地方では、生活のあらゆる面で助け合い相談し合う「お隣さん」は家族の延長のようなものだった。それが分断されたのは「心の支えを失ったのと同じです。これまで生きるのに精いっぱいだったのが、少し落ち着いて逆に不安が募るのです」と吉田さん。

独り暮らしならなおさら。「寂しい」との声をあちこちで聞き、「何もすることがない」と部屋に閉じこもる人も多かった。1年を経て、肉親を亡くした悲しみや喪失感、自分だけが生き残った苦しみが深まり、生計など先の見通しが立たないことも相まって鬱状態になった人を何人も見ている。最悪のケースでは自死に至る。

「この1年、いつ死のうかとばかり考えていた」という主婦が手芸の集まりで生きがいを見つけたという。黙々と針仕事をするのは自分を見つめるのに効果的だが、吉田さんからは「その時だけでも孤独な現実から逃げたい」という姿勢がありありと分かることもある。切ない。「表面は笑っていても自己防衛ということもあります」