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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

駆け付けた人々 11(1/3ページ)

2012年6月23日付 中外日報
公民館にあるボランティアセンターの受付。さまざまな資材や注意の張り紙が目に入る(昨年6月、宮城県亘理町で)
公民館にあるボランティアセンターの受付(昨年6月、宮城県亘理町で)

行いとはお経の実践

触れ合い、課題をつかむ

昨年5月の連休。前夜に京都を出発した2台のワゴン車は、10時間余りをかけて宮城県に入った。荷台にはスコップや一輪車、バケツが山積みされている。会社員や学生、理学療法士に僧侶の有志計12人のボランティアチームに加わった。

「作業に行った先では家の方をお名前で呼んでください。『被災者』じゃありません」。初めての参加者に説明するリーダーの京都府亀岡市、日蓮宗法華寺の杉若恵亮住職(52)にあえて「仏教者」としての姿勢を問うと、「困っている皆さんの所で働くことで、人間同士の接触から、何が問題なのかが分かります」。それこそが僧侶の役目、との思いが伝わってきた。

住宅地と田畑の境も失せ、広大な廃虚に車や船の残骸が連なる。車窓の風景に皆が押し黙った。杉若住職は岩沼市の公民館駐車場に車を滑り込ませ、早速ボランティアセンターのコーディネーターとこの日の作業の段取りをてきぱきと打ち合わせる。リーダー以下全員がヘルメット、マスク、安全靴の装備。現場で瓦礫撤去を始めると、初夏の季節に防水作業服は少し蒸し暑かった。

被災地入りがこれで4回目の住職は、震災直後から機材を買いそろえて状況をうかがった。3月末、県外支援の受け入れが始まり、地元に迷惑が掛からないガソリンや宿泊の自力確保のめどが立つと、5人で即座に赴いた。逡巡しないのは、阪神・淡路大震災での苦い経験があったからだ。