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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

駆け付けた人々 5(1/3ページ)

2012年6月5日付 中外日報
日が暮れると仮設住宅はひっそり静まり返る。電気のともっていない家もある(宮城県石巻市内で)
日が暮れると仮設住宅はひっそり静まり返る。電気のともっていない家もある(宮城県石巻市内で)

「心のケア」より「丸ごとケア」

孤立した人々に学ぶ

被災地支援に「宗教者」としてどう関わるか。そんな問題提起と関連して「心のケア」がさまざまに論じられた。

一方的に「ケアします」のポスターを張り、経典を配ったりして「布教」と警戒されるケース。宗教者に限らず心理療法の専門家も含め、いきなり「何か悩みは?」と尋ね、同じ事を何度も聞いて敬遠される例。避難所や仮設住宅では「心のケアお断り」の張り紙も見られ、「押し売り」「蝿」と並んで嫌がられるとさえ言われた。

そうではなく、「丸ごとケア」を心掛ける大阪の真宗大谷派僧侶、川浪剛さん(50)は、「ホームレス支援全国ネットワーク」などでつくる「共生地域創造財団」の被災地駐在要員として生活支援にこだわった。

例えば「米、醤油、スープ、乾麺」、2回目は「野菜、冷凍食品」。財団や生協が提供する物資をパックにし、きめ細かく配送する。行く先はいろんな事情で仮設に入れない人、不便で行政などの支援も行き届かない集落など。

秋の彼岸前、浜の村で78歳の女性が半壊した自宅にポツンといた。以前から寝たきりだった夫は震災後に亡くなり、布団もない家で山の沢の水で暮らしているが、小さな仏壇をきちんと祭っている。たくさんの飲料水と供え物の落雁を川浪さんは届けた。「生活保護を受けてるから家から離れてはいけないと思って」と女性が打ち明けた。