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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

駆け付けた人々 3(1/3ページ)

2012年5月26日付 中外日報
避難地域の寺は檀家の多くが離散する一方で、犠牲者の供養に尽力した(福島県南相馬市内の寺院で)
犠牲者の供養に尽力した(福島県南相馬市内の寺院で)

現場での共苦が発心

葬儀の意義は弔いの質

福島県南相馬市の農業高校体育館に、作務衣に絡子の袈裟を着けた高橋卓志・神宮寺住職(63)が入るのは毎朝8時。顔見知りになった警察署長が「よろしく」と出迎える。スリッパで上がると前方のステージの簡単な祭壇に灯明をともす。

100体以上、日々隙間がなくなっていく棺の列を右回りに、1人ずつ足元から頭に向かって般若心経を唱えた。猛烈な臭い、内出血した苦しそうな顔が目に焼き付いた。

海から揚がったばかりの遺体に遺族がすがりつく。本当は故人の宗旨を配慮しなければならない。だが「瓦礫の中で亡くなられた瞬間のこと、家族の心情を思うと、とても考えられない」。ただひたすら祈った。

新たな棺が二つ並び、子連れの母親が話した。「じいちゃんとばあちゃんだ。今日見つかったのさ、壊れた家の下から」「でも、じいちゃんはいつも『家で死にてえ』ってったから、望みがかなって良かった。ばあちゃんとも一緒だし」。火葬は死後20日になる6日後だという。「皆、必死で何かを納得しようとしている」。その気持ちが住職の胸を揺さぶった。