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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

支援の広がり 5(1/3ページ)

2012年4月17日付 中外日報
一周忌で開かれた「竹灯篭」に向けて、竹筒にメッセージを書く子供たち(「テラセン」サイトから。宮城県山元町で)
「テラセン」サイトから。宮城県山元町で

苦も辛も何でも捨てる

お寺はごみ箱でよい

宮城県山元町、曹洞宗普門寺の坂野文俊住職(48)は、寺から流出した泥だらけのタンスから袈裟を引っ張り出して洗濯し、宗門から送ってきたサイズの合わない衣を着て葬儀場に通った。

犠牲になった50人に上る檀家の葬儀で涙が止まらなかった。住職に親しく接してくれた若い人も多く、その変わり果てた姿、理不尽な死に胸が締め付けられた。

生き残った人々も放心状態。「和尚さん、稼がねば」「バカたれ、何言ってんだ」と荒い言葉で冗談を交わす仲だった檀家も表情が消えていた。「あの笑顔をもう一度見たい。希望を示すのが住職じゃないか」との思いがこの1年間、坂野住職を突き動かしてきた。

かつて「瓦を磨いて鏡にする」という言葉を先輩僧侶に教わった。「実際には鏡にはならないが、その無駄なことを続けるのが修行。坊さんにとって寺はその場所であり、実はそれは無駄じゃないのです」

衣を作業服に着替えて動いてきたことの意味。「私は自分の体でぶつかって人の痛みを知ることからしか分からない。これが仏様の仰ることなのだと。これで皆が幸せになれば結果的にそれが仏教につながるのだと思います」と住職は話す。