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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

支援の広がり 2(1/3ページ)

2012年4月10日付 中外日報
僧侶らが振る舞うかき氷に子供たちも大喜びだった(宮城県塩釜市の仮設住宅集会所で)
僧侶らが振る舞うかき氷に子供たちも大喜びだった

痛み共有は自身のため

お茶っこ・かき氷でつながる

宮城県塩釜市、臨済宗妙心寺派東園寺の千坂成也住職(45)の元へは震災から半年以上たっても身元不明遺体発見の知らせが入った。ある日「男児が流れ着いた」との連絡で供養に赴くと、遺体は下半身だけで、「ピカチュウ」の絵の入った下着を履いていた。寺付設の幼稚園で接する子供たちの姿と重なり、目の前が曇って読経に詰まった。

そんな限りない悲しみを胸に、残った人々の人生に寄り添う。妻と中3の娘を亡くした檀家の店主(46)とは、一緒に野球を見に行った。地震の時、ちょうど電話で法事の打ち合わせをしている最中で、「揺れがひどいから切ります」と話したきりだった。被災した店をたたむつもりだったが、18歳の長男が継ぐことになったと打ち明けられた。

4月下旬から避難所へ炊き出しを始めたのも同じ気持からだった。松島・瑞巌寺の末寺など同宗派を中心にメーリングリストで連絡を取り合う20~40代の僧侶十数人で自然発生的にグループができ、あまり支援の入らない小規模避難所を回ることにした。

最初の名取市の小学校体育館では焼き肉を振る舞った。作務衣だがエプロンを掛けて頭にはタオルを巻き、大喜びの避難者から「どこの店の方?」と聞かれる。ひととき、温かい笑いの輪が。涙は炭火の煙のせいばかりではなかった。

好評を受けて焼き肉やマグロの刺身などボリュームがあってパワーのつく献立が定番になり、東松島、塩釜、仙台と1週間ごとに実施。行く先々で被害の深刻さに打ちひしがれながらも、「大変だったね」と人々が口を開くきっかけができた。

「人助けという感覚ではなかった。自分自身のために痛みを共有している、生き残った者として体を動かさざるを得ない、動くことで『生きているんだ』という感覚で自分の心が安らいだと言えるでしょうね」。千坂住職はそう振り返る。