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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

原発さえなければ 7(1/3ページ)

2012年3月6日付 中外日報
全ての店や家々が閉ざされ、人通りもまったくない市街地はまるでゴーストタウンのようだ(福島県飯舘村で)
全ての店や家々が閉ざされ、人通りもまったくない市街地…

「脱原発」どうするのか

3月10日に戻してほしい

今年2月、京都で全日本仏教会人権問題連絡協議会が原発事故をテーマに開かれた。各宗派の参加者から「惨状を伝えるのが仏教者の使命」「風評差別を乗り越えていく道を宗教者が示さねば」といった発言があった。

全日仏は「いのちを脅かす原発への依存を減らし原発に依らない社会の実現を目指す」とする宣言を12月に出した。「足るを知る」という仏教としての価値観から文明・生き方の転換を提起したものだ。が、「脱原発」を明言はしなかった。

各宗派の対応は多様だ。「何も言わないのは仏教者として罪」と批判的宣言を出す宗門。脱原発的姿勢ながら「誰かを悪者にしなければ収まらない論議になる」と声明は出さず、宗議会が「運転停止と廃炉」を求める決議をした教団もある。

別宗派の宗務当局は立地自治体の事情や雇用問題を挙げ檀家に「関係者がいる」ことも配慮して是非の判断を見送った。大部分が、なお膨大な放射性廃棄物を排出し再稼働の呼び声さえ聞かれる現実の原発に手をかけるものではなかった。

どんな社会的問題にも、犯罪にも戦争でさえも「関係者」はいる。そして「善悪」とは別に責任と償いを問われるべきものは存在する。福島の曹洞宗住職は「放射能による殺生を仏教者は許してはならない。直ちに止めるべきだ」という。

被災地では「にわか論議はもうたくさん。暮らしを返してほしい」との声を何度も耳にした。全日仏の協議会で講演した福島県飯舘村の酪農家長谷川健一さんは「3月10日に戻してほしい」。そう2度繰り返した。