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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

死と向き合って 8(1/3ページ)

2012年1月31日付 中外日報
懸命に逃げた児童らのランドセルが残されたまま、津波で泥まみれになっていた。この学校では欠席して自宅にいた児童1人が犠牲になった(宮城県名取市、閖上小で)
宮城県名取市、閖上小で

生と死見つめる大事さ

何も分かってなかった

「こんなにたくさんの方々が亡くなった、その深い悲しみを機に、私たちによく考えよと如来様が仰っている気がします」。仙台市の真宗大谷派宝林寺副住職の木村敏さん(51)はそう話した。

勤務する宮城県名取市役所のクリーン対策課長として、地震の日から900人以上の死者に関わり続けた。

「社会が死を遠ざけようとしてきた中で、真宗は死を、命を見つめよと言ってきたが、これほどの大量死が目前に現出する中で、誰もが死と生を見つめることが本当に大事だと分かった」。それが、阿弥陀如来の働きであると実感するのだ。

仙台の南に位置する名取市は、空港もある低地の平野部奥深くまで津波が浸入し、960人の犠牲者を含む甚大な被害が出た。中でも被害が集中した閖上地区では、死者は住民の10%に当たる667人に上る。

住宅も工場も根こそぎにされた見渡す限りの荒野では、茂った雑草が枯れていた。名物「笹かまぼこ」など水産加工品の事業所や漁業関係者が多かった。人情深い土地柄で、地震から津波まで1時間近く、逃げ遅れそうな人を助けようとして家々を走り回っているうちに流された住民もかなりいたという。社会心理学で「愛他行動」と呼ぶ。