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風鐸

宗教や社会の諸情勢について思いをつづるコラム。軒下につるした風鐸の音色のように、読者の心に響くことを願って……。

少数派の憂い

2017年5月31日付 中外日報

一時、世間の耳目を独占した森友学園。園児たちが「教育勅語」を一斉に暗唱する姿をTVの映像で見て衝撃を受けた。さらに驚いたのは、そうした教育を実践する学園に「感動した」と賛辞を贈る首相夫人ら大人がいたことだ◆1945年から58年頃にかけて小学生だった世代は、戦前の修身教育は勿論、戦後の道徳教育にも無縁なまま育った。いわば教育関係者の自信喪失期で、思えば当時の子供はゆったりした時空に包まれていた。修身や道徳教育に拘る人たちには、この世代が「異端の少数派」に映るのだろうか◆折り紙付きの品行方正だったとは言わないが、親や先生、地域のおじさんらに、折に触れ叱られながら、人倫を大きく踏み外さずに来た。戦後七十数年と共に、戦前の「修身」と戦後の「道徳」の狭間の少数派は、現実の場面で教わり育った。むしろ善悪正邪の判断を自らの頭で考える主体性は身に付けたのではないか◆ところで、現状は私たちの願いとは裏腹に、社会監視の仕組みがじわじわと進み、閉塞感ばかりが強まっている。来年度からの「道徳教育」強化、変更も、そうした流れと決して無縁ではないだろう◆このところ「国のかたち」につながる重要な法律が、いかにも軽い言葉と振る舞いの中で、いとも簡単に決まっていく。気付いた時「こんなはずではなかった」と、後の祭りになっていなければいいのだが……。(高野信之)