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参列者が見守る中、晋山式に臨む藤里貫主
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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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風鐸

宗教や社会の諸情勢について思いをつづるコラム。軒下につるした風鐸の音色のように、読者の心に響くことを願って……。

安全な日本で

2017年4月19日付 中外日報

「どうか帰って来て!」。ネット上に書き込まれた母親とみられる女性の祈りは届かなかった。ベトナム国籍の小学3年生、レェ・ティ・ニャット・リンちゃんが通っていた千葉県松戸市の小学校では「リンちゃんに思いを届けよう」と始業式で児童らが元気に校歌を歌ったという。彼女が殺害され、遺体が見つかってから間もなく1カ月。14日、容疑者が逮捕された◆葬儀は日本とベトナムで営まれた。ベトナムは日本と同じ大乗仏教の国で、国民の7~8割が信者とされる。両親も篤信の仏教徒なのだろう。いずれの葬儀でもベトナムの僧侶が懇ろに読経してリンちゃんの冥福を祈った◆参列したベトナム人からは「日本は安全な国だったはずだ」と無念の声が漏れた。日本の治安の良さは世界でトップレベルにあり、刑法犯認知件数の減少など近年はさらに治安の改善を示す数字もあるが、国民の実感にはなお遠い◆東京オリンピックなど国際的なイベントを控え、さらに多くの外国人が日本を訪れる。「安全神話」がこれ以上揺るがぬよう関係機関は犯罪抑止対策に万全を期してほしい◆ベトナム語でニャットは日本、リンは輝きを意味する。ベトナムと日本の懸け橋になってほしいと両親が思いを込めた。リンちゃんを故郷で埋葬した父親は「娘をもう一度生き返らせてくれたら、許す」と。この言葉が犯人に届くことを願う。(飯川道弘)