ニュース画像
多くの人が見守る中、彰義隊墓所で盛大に営まれた150回忌法要
主な連載 過去の連載 エンディングへの備え
苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
購読のお申し込み
新規購読キャンペーン
紙面保存版

<連載・断面>賦課金 第4回

2014年9月19日付 中外日報

未納寺院の実情踏まえ対応を

膨らむ滞納総額

「滞納理由はさまざま。関係機関で対応を検討していく」――3月の日蓮宗定期宗会で小林順光・宗務総長は、塩田義徹・明和会会長から宗費未納の対策を問われてこう答弁し、3年以上の滞納総額が約1億7千万円に上ることを明らかにした。与党会派の同心会も未納問題への対応を迫り、小林内局は未納寺院の実態調査を開始、対策に本腰を入れ始めた。

中川法政・財務部長は「不況が長引き宗門財政も緊縮を迫られている。歳出削減だけでなく、歳入についてもきちんとしていかねば」と未納対策の背景を語る。滞納寺院には住職交代などの手続きが行われない。寺院復興に意欲のある後任者が見つかっても、多額の滞納額が足かせとなり布教活動に踏み出せないことも考えられる。伝道教団を標榜する日蓮宗にとって根幹にも関わる問題だ。

日蓮宗の宗費は、檀家数や収入に応じ36段階ある寺院負担金と教師義納金からなる。平均的寺院の25等の寺院負担金は年10万5600円。教師義納金に共済費なども合わせると年間約20万円の宗費が必要となる。

宗門の年間予算約23億円のうち、宗費は約15億円。「(金額ベースで)宗費納付率は99%」(阿部昌宏・天台宗総務部長)などという他宗に比べ、未納率の高さは以前から宗内で知られていたが、「未納寺院は全5千カ寺のうち150カ寺程度。比率が少なかったため、あまり指摘されてこなかった」(中川部長)。

実態調査進める

未納の理由は、経済事情などさまざまとみられる。小林内局は現在進めている実態調査の内容を精査し、実情に即した対応策を検討する考えだ。宗費について中川部長は「未納寺院が災害で被災すれば仲間として見て見ぬふりはできない。権利は皆平等にある。宗門を支える課金も平等に負担していただきたい」と協力を呼び掛ける。

ただ実態調査の目的は「無理に取り立てるといったことではなく、何に困っているのかを把握すること。誰も悪意で滞納しているのではない。お寺が窮状にあるなら仲間として苦しみを分かち合えるよう、宗門運動の但行礼拝の精神で臨みたい」とする。

末寺はどう考えているのか。等級が30等代の千葉県の住職は「収入がないからと廃寺にはできない。(宗門寺院として)歴史と人々の信仰があり、少なくとも自分の代で灯を絶やさないとの思いから宗費を捻出している」と語る。金額設定に「高い低いと意見はいろいろある」が、「日蓮宗の寺院・教師を名乗り便宜供与を受けている。所属団体を維持するための経費負担は当然だと思う」と宗費の支払いに理解を示す。

宗務所長経験者の近畿の住職は滞納者について、「20年以上滞納していた住職は『払う必要がない』と宗費に批判的だったが、これは例外的。経済的理由や支払いを忘れていたというケースが多かった」と話す。

関東の宗務所長は「宗派の予算規模は他宗と比べても妥当なものではないか」としつつも、2021年の日蓮聖人降誕800年の記念事業に向けて取り沙汰される特別賦課金については「課すならきちんとした説明が必要。納得を得られなければ払わない寺院が出てくるかもしれない」と当局の説明責任を重く見る。

中川部長は「未納金解消には時間がかかるだろうがまず事情を把握し、寺院の活性化とより良い宗門に向けて財政健全化に取り組みたい」と意欲を見せた。

帰属意識を喚起

真言各派では教師義納金の滞納問題に取り組む宗派がある。善通寺派は10年に教師義納金の未納が711件545万円(宗派予算約3千万円)に達し、同年の宗会で滞納者の教師資格停止、僧籍削除などを懲戒規程に盛り込んだ。森末正彦・財務部長は「特に一般の方が寺院に弟子入りして教師資格を取得後、各地で活躍されている場合は『宗派・本山あっての教師』という意識が低い」と背景を指摘。今後も教育の徹底など対策に努めるという。