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<連載・断面>賦課金 第2回

2014年9月12日付 中外日報

免除撤廃へ 高齢教師も負担を

少子高齢化社会

宗門が課す賦課金は寺院に対するものの他、僧侶の一人一人に割り当てられる僧侶課金がある。宗門を維持するために必要となる経費を、僧侶各人で平等負担することが原則だが、宗派によって徴収する対象に違いもあり、見直しを進めている教団もある。

浄土宗は、昨年創設した「浄土宗基金」を、将来の事業に備えて充実させようと財政委員会で議論を進めてきた。宗祖法然上人800年大遠忌などでは特別課金が課せられていたが、同基金を活用することで宗門寺院が一時的に強いられる高負担を今後、緩和するのが委員会の狙いだ。

委員会では、住職認証や僧階叙任に伴う冥加料を、基金に積み立てる方針を打ち出した。宗派の一般会計の財源は、寺院に対する課金と教師に対する僧階課金からなる一宗課金と、冥加料からなる。不確定な収入といえる冥加料が財源の2割を占める現状を疑問視する声があり、3月の宗議会で東京教区の問川良元・議員は財政健全化に向け「冥加料に依存する割合を見直す必要があるのではないか」とただした。

7月にまとめられた委員会の中間報告書案では、僧侶に対する課金の見直しを提言した。浄土宗は教師の他、教師・住職を補佐する助教師、6歳から登録可能な宗徒を僧侶と定めている。これまで僧階により6段階に区分された「僧階課金」が教師だけに課されていたが、助教師課金の新設や、70歳以上の非住職の僧階課金の免除を撤廃し、80歳以上を通常の半額とすることを提案した。

宗徒への課金は、妥当性はあるものの未成年が多いことから免除し、宗徒登録料の徴収と一定年齢以上の定期的な登録更新を提案した。課金の見直しは、将来を見据え宗門財政の足腰を強化しようという考えだ。

財政委員会の加用雅愛・副委員長は「平均寿命も延び、教師の構成年齢も若年層が減っている。70歳を超えた方々に、組織を支えてもらわないとならない段階に来ている」と語る。

宗門僧侶として

宗門僧侶として活動できる以上、経費は平等に負担すべきだとの考え方が課金見直しの根拠になっている。僧侶への例外のない課金で、僧侶の寺院所属が明確になるという利点もあるという。

委員会では、100歳を大幅に超え死亡していると思われる年齢の僧侶が宗務庁のデータ上、存在しているが、課金徴収でデータ更新がスムーズにいくとの論議も出た。だが、高齢化社会で年金が削減されるのと同様、「負担できるところには負担してもらう」との発想のように見える。

僧階課金の免除撤廃について、関西のある若手宗門僧侶は「70歳以上で非住職となれば、寝たきりなど法務ができない状況にある僧侶もいるはず。そうした場合も徴収されるのか」と違和感を語る。70歳代のある非住職は「住職を譲ってからは収入も減る。頼りの年金は介護保険などが引かれ、ほとんど残らない。寺の規模によって違いも出るだろうが、経済的に余裕がない寺も多い。一律に課すことはできないのではないか」と個別の活動実態を考慮すべきだとする。

免除措置撤廃の背景にある社会情勢の変化は大きい。僧階課金の設立に向けて議論が行われた1974年の日本人の平均寿命は男性71・16歳、女性76・31歳だったが、2013年は男性80・21歳、女性86・61歳と急速に高齢化が進んだ。宗門を支える団塊の世代の僧侶が70歳以上になる時期も、間近に迫っている。

他宗派では、高野山真言宗は教師義納金が僧階に応じて5段階で賦課される。免除措置は規定されておらず、義納金の納付は「教師の根幹をなすもの」として、個別の減免申請が認められた例もないという。

僧階のない真宗大谷派では、僧侶賦課金が住職、教師、「教師でない僧侶」と規定される得度者(得度は9歳から可能)にそれぞれ課せられる。同様に免除措置は定められていない。

財政委員会の谷上昌賢委員長は「課金の仕組みは宗派によって大きく違い、宗風を踏まえて見直しを行っていく必要がある」と語る。