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<連載・断面>新宗教⑨

2014年8月27日付 中外日報

連携宗教の枠 超え学び合う

新宗教教団は一般の人から閉鎖的というイメージを持たれることもあるが、他教団との連携に積極的な所もある。世界的規模で平和のための宗教間対話を進めたり、伝統宗教と密接な関係を構築したりと、さまざまな教団同士で融和が図られている。「異なる教えに触れ、互いの信仰の尊さを認め合うことが、自身の信仰を高めようとの意識にもつながっている」と関係者は強調する。

黄色い袈裟の上座部仏教徒、黒衣に十字架をかけたキリスト教徒、頭にターバンを巻いたシーク教徒――。昨年11月にオーストリア・ウィーンで開かれた世界宗教者平和会議(WCRP)第9回世界大会に、約100の国・地域から700人近い宗教者が集結した。その中に日本の新宗教教団代表者の姿もあった。

WCRP世界大会は1970年、京都で第1回が開催された。この時の出席者は39カ国の約300人。その後、世界各地で設立された地域委員会では、意見の違いに机をたたいて激しく反対する人や、席を外してそのまま戻ってこなかった人もいた。半世紀近くを経て参加者も増え、今では宗教間対話が珍しいものではなくなった。

現在、日本委員会の役員には黒住教、金光教、立正佼成会など新宗教教団の役職者が名を連ねる。「対話を通じて違いを見つめることで、自身の信仰の目覚めにつながることもある」と畠山友利・日本委員会事務局長。「対話が始まってからまだ数十年。ある意味今も実験で、まだまだこれから」と今後の展開に期待する。

教団の横の連携が進むことについて金子昭・天理大おやさと研究所教授は「個々の教団で活動するより共同で行った方が、活動の効果が高まり、また人々の信頼を得やすいと認識されるようになった」と指摘する。「一般の人の中には、教団に関わると会員にさせられるのではないかと警戒する人は多い。宗教を超えて手を携えることが、不安を和らげることにつながる」と見る。

地域に密着した連携も行われている。東京都練馬区周辺の諸宗教者が参加する練馬宗教者懇話会では、発足した2000年から年数回の会合を重ねている。キリスト教、神道、仏教、そして天理教など新宗教の会員が、所属する社寺や教会を会場に、互いの宗教を学ぶ勉強会を開き、懇親の場を持つ。7月に真言宗智山派観蔵院で開催された会合では、参加者全員が般若心経を唱えた。読経はたどたどしいが声には張りがあり、他宗教のことを少しでも学ぼうという意欲が感じられた。

昭和初期に設立された玉光神社の本山一博・権宮司は発足当初から参加しており「地域の懇話会には、中央レベルの宗教間対話までは出ていかない人も顔を出す。近くに住む身近さもあって、人間的な付き合いができる」と地域ならではの魅力を感じている。

もちろん全ての宗教者が対話に積極的というわけではない。本山権宮司がある教会を訪れて世間話をしていた時のこと、懇話会への参加を切り出した途端、急に態度が変わり話を打ち切られたことがあったという。「参加したことのない人には大きな壁が感じられるようで、それをいかに取り除くかが課題」と話す。

霊友会や立正佼成会といった法華系教団が身延山、辯天宗が高野山に参拝するなど、伝統宗教の社寺と密接な関係を保っている教団も多い。今月3日、真言宗泉涌寺派総本山御寺泉涌寺(京都市東山区)境内を、真っ白なシャツに黒いズボンの若者たちが埋めた。全国から千人以上が集まった解脱会青年部の巡拝錬成だ。

同会は伊勢神宮、橿原神宮、泉涌寺を日本の原点の「三聖地」と位置付ける。4月に行う一般会員の巡拝の他、夏の盛りに青年が参拝し心を鍛える機会としている。「聖地に浸り、恩恵に感謝することは、個々の信仰の深まりにもつながっている」と松田佳高・布教部長は語る。

真言宗泉涌寺派の渡邊恭章・法会兼教学部長は「解脱会は、先祖やお寺を大事にして自分の修行とするという教えで、伝統宗教とうまく共存できている」と評価し、「新宗教でも伝統宗教でも、人にとって魅力ある宗教かが問われる」と話す。

どの宗教にも「吾が仏尊し」とする空気はあるが、他宗教と接することが互いを高め合い、社会への視野も広がって公益活動を実施する原動力にもなっていく。