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<連載・断面>新宗教④

2014年7月18日付 中外日報

布教方法間接的で拒否感少なく

香川県文化会館(高松市)で4月に開かれた「天国色彩―出口王仁三郎とその一門の作品展」には、9日間の会期で約3千人が訪れた。「天地間の森羅万象は、何れも皆、神の芸術的産物である」。この言葉を残した大本の王仁三郎教祖は、芸術家としても非凡な才能を発揮。独特の色彩と輝きを持つ楽茶碗は「耀盌」と命名され専門家から高い評価を得た。その精神を継承する大本では「芸術宣教」を掲げ、教祖らの作品展を各地で積極的に開催している。

同会館では、一つ一つの作品を熱心に鑑賞する人が多く、その芸術性が人々の心を捉えた。教義そのものでなくとも、教えを象徴するものが信仰への入り口となることもある。来場者アンケートでは「次元の高い天国、神仙の世界を現界に降ろしてきたもののように見えた」(50代男性)など、宗教性の伴う芸術に感動の声が多く寄せられた。実行委員長を務めた図子泰・大本香川分苑長は「大本の芸術の素晴らしさを理屈ではない部分で知ってもらえたと思う」と振り返る。

展覧会を通して一般の人々を「神さまの門戸」に案内し、その後、大道場修行や講座受講など聖地へと足を運んでもらうのが目的ではあるが、山田歌・大本本部総務課主幹は「直ちに信徒を増やそうというのではなく、『みろくの世』の実現へ、神さまを知ってもらう道筋の一つと考えている。神さまを知るには教えや修行もあるが、『美』から入ると理解しやすい」と話す。

若者の宗教文化に詳しい内藤理恵子・愛知大国際問題研究所客員研究員は「今の若者は直接的な布教より、間接的なアプローチを好む傾向にある」と指摘する。同研究員が学生にアンケートをしたところ、宗教に否定的イメージを持つ学生の多くが、その理由として強引な勧誘を受けた経験を挙げた。反対に肯定的イメージを持つ人は、『聖☆おにいさん』など漫画やアニメの影響によるとの意見が目立った。「かつては宗教的世界観が祖父母から教えられていたが、核家族化の進行でそうした機会が減り、さまざまなメディアを通じて接するようになったことが影響している」と分析する。

生長の家は教えを伝える一つの手段として「ノーミート料理」を活用している。信徒が自宅で開く勉強会で、肉を使わない料理を提供したり、大豆ハンバーグなどの料理を一緒に作ったりすることもある。料理を囲んで語り合い、自然環境を考えるとともに、全ての存在が神の生命の表れであるという教えの理解も深めている。

同教団は京都府城陽市に大規模太陽光発電システム(メガソーラー)の建設を決めるなど、環境保全を布施行と捉えて積極的に取り組んでいる。放牧や飼料生産のために世界で伐採される森林は多く、肉食の回数を減らすことは環境対策の一つでもある。

ある信徒は「夫が肉好きで、ノーミートへの切り替えには努力が必要だった」というが、「今では野菜好きになった夫が家庭農園を始め、野菜たちを通じて大地や神様への感謝が込み上げてくる」と語る。「ノーミート料理を通じて、自然と人間の調和した生き方を実践し伝道していきたい」と食卓からの信仰活動に意欲を高めている。

一般向けの書籍が教えに触れる重要な機会となっているのがGLAだ。昨年末に発刊した高橋佳子主宰の著書『1億総自己ベストの時代』はすでに約10万部に達した。ビジネス書コーナーにも置いてあるので、書店で手に取って初めてGLAを知ったという人もいる。

本で興味を持った人が、高橋主宰の講演会に足を運ぶケースも多い。昨年秋に名古屋・大阪・横浜で開催した講演会には計1万6千人、中継会場を合わせると約3万人が来場。1992年から延べ100万人が聴講した。

GLAの会員は約3万5千人。近年は年間約2千人増加しており、講演会場で入会する人も毎回100人程度いる。後藤宏士・広報部長は「講演会では会員が体験を語り、その人生の変革が高橋主宰によって解き明かされる。自分の身になぞらえて教えを理解できるので、入会してさらに学びを深めたいと考えるのだろう」と話す。

布教方法は時代の変化に伴ってさまざまな姿を見せるが、海外では土地柄の違いを超えて教えを広めようとする努力が続けられている。