ニュース画像
多くの人が見守る中、彰義隊墓所で盛大に営まれた150回忌法要
主な連載 過去の連載 エンディングへの備え
苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
購読のお申し込み
新規購読キャンペーン
紙面保存版

<連載・断面>宗会⑩

2014年5月14日付 中外日報

宗内改革だけでなく社会貢献への議論を

「宗教離れと言われるが、実は多くの人々が潜在的に宗教を求めている。寺檀関係や葬儀、法事の形態の変化や減少などの危機感から各教団の宗会では宗内の改革ばかりが議論され、閉塞感が漂っている。発想を転換し、現代社会に宗教がどのように貢献していけるのか、前向きな議論をしてほしい」。広島大大学院の町田宗鳳教授(比較宗教学)は社会と向き合った宗会の在り方を提唱する。

「宗教教団に宗会は必要か」。中外日報が3月に宗会意識アンケートを実施した結果、回答者146人(現役議員75人、一般僧侶71人)中、約8割2分の120人(議員は63人)が「必要」と回答した。また、一般僧侶の約7割が「宗会に興味、関心がある」と答えた。だが、回答した議員の約4割は「周囲に勧められた」と立候補の理由を選択。さらに一般僧侶の約7割が「距離を感じる」などを理由に「議員になりたいと思ったことはない(なれない)」と答えている。この矛盾したアンケートの回答は何を示しているのか。

(議員への質問と回答)

◆「宗会議員になった理由は」。①宗門を良くするため=30人②周囲から勧められた=28人③親や叔父などが議員だった=10人④その他=7人。

◆「議員はステータスだと思うか」。①思う=5人②思わない=55人③その他=15人。

◆「具体的に取り組みたいことは」。自由回答=「地方の声を届けたい」「宗門改革」「尼僧の地位向上」「不活動法人問題」「過疎、少子化、原発、改憲などの社会問題」など。

(一般僧侶への質問と回答)

◆「宗会に興味・関心はあるか」。①ある=49人②ない=9人③どちらでもない・その他=13人。

〈あると答えた人の理由〉①教団の一番大切な会議=27人②教団の動向や課題などを知るため=20人③争いが面白い=0人④その他=2人。

〈ないと答えた人の理由〉①私たちにはどうでもいい=0人②大寺院や実力者の集まり=6人③欲深く自己顕示欲の強い人の集まり=3人。

◆「議員になりたいと思うか」。①思う=7人②思わない=51人③なろうと思ってもなれない=4人④どちらでもない・その他=9人。

◆「選挙について」。①適正だ=27人②醜い争いなので規制を厳しく=7人③わからない・その他=37人。

◆「投票する人を選ぶ基準や理由」。①人物本位=35人②政策や公約=16人③縁故・血縁、地理的条件=5人④わからない・その他=15人。

◆「票の買収や行き過ぎた行為について」。①直接関与した=2人②見聞きしたことがある=25人③見聞きしたことがない=40人④その他=4人。

選挙については、宗門改革を志して自主的に立候補するより、推薦や世襲を理由に受動的に立候補する例が目立ち、さらに「事実上、教区内で順番が決まっている」「地方の小さな寺院からは議員になれない」など、形骸化した選挙実態が明らかになった。

例えば臨済宗妙心寺派では、候補者の寺族や法類などの選挙違反行為によって当選を無効とする連座制を採用するなど選挙の重みを周知しているが、本来、選挙は宗会という議会制民主主義の根幹を成す。

関連して寄せられた意見の中には「議員は既得権益化している」「宗会は宗教が抱える問題に向き合っていない」など批判的なものもあり、アンケート結果からは宗会と末寺との意識の乖離が浮かび上がった。議長経験者の江頭弘勝・真言宗大覚寺派高野寺住職は「多くの宗会がサロン化している。広く全国の寺院の意見を取り入れられる宗会、能力のある人、やる気のある人が議員になれる制度でなくてはならない」と強調する。

真言宗豊山派が設立母体の一つである大正大の元学長で、常任理事という立場で同派宗会に関わっている星野英紀氏は「伝統宗教、新宗教の区別なく宗教教団全般が苦しい状況に置かれ、社会の多岐化、専門化の進行で包括法人の役割が次第に見えにくくなりつつある。高等教育機関への経営補助は宗門後継者養成のみが目的ではなく、宗教法人が行う極めて崇高な社会貢献だと思う。教団が社会に対して果たすべき役割を明らかにする宗会であってほしい」と願った。

(おわり)