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<連載・断面>宗会⑦

2014年4月30日付 中外日報

進まない定数是正 選挙区割りの再編

「檀家の減少、無住、兼務寺院の増加など過疎化の影響は深刻。宗会では厳しい状況の中で教区寺院が頑張っていることを伝えてきた」。全国一の高齢県である島根県西部の石見地方をエリアとする浄土宗石見教区選出の近江隆寛議員は話す。教区内の匹見地区などでは過疎で檀家がゼロになったり、名前だけが残っている寺院もある。

同宗では、かつて2教区で1選挙区だった石見教区と出雲教区、伊勢教区と伊賀教区が、1993年に議員立法で1教区1選挙区に変更された。一票の格差や定数配分の是正などを見直すために全教区の意見を集約することが目的だった。だが、「今はその動きはなくなっている」という。課題とされながら進まない定数是正などの改革。各教団はどう取り組んでいるのか。

各教団の選挙区割りで多いのが、寺院数の多い教区(管区)は単一教区を選挙区とし、一票の格差が広がらないように定数を増やしたり、寺院数の少ない教区は複数教区で定数1の1選挙区とするケースだ。

有権者は宗派によって異なり、教師だけでなく僧籍を持つ寺族にも選挙権がある場合もある。

日蓮宗では、選挙区割りの是正を求める声がある。埼玉管区と群馬管区で1選挙区となっている第12選挙区で、ここ40年ほどは埼玉管区から連続で議員が選出されている。群馬の寺院数は約35カ寺で、埼玉は約110カ寺。どうしても有権者数の多い埼玉が有利になるので、「30年ほど前に3期(12年)に一度は群馬から選出するという了解ができた。だが、群馬の順番が来た時、埼玉の議員が宗務総長になれる可能性が出てきてもう1期続けて以来、約束は守られず、埼玉からの選出が続いている」と管区関係者は証言する。

広く全国の教区の声をくまなく平等に吸い上げて議論する宗会は、その基本となる定数配分や格差是正に教団を挙げて取り組むべきではないか。

3350カ寺の天台宗では26選挙区から30人の議員を選出する。議員1人当たり111カ寺平均だが、南総選挙区は239カ寺で、北陸選挙区は39カ寺と寺院数では6倍もの格差がある。しかし、「格差が問題になったことはない。栃木の日光輪王寺門跡や上野寛永寺など特別な寺院がある地域では定数を増やすなど配慮している」と同宗関係者は説明する。

浄土真宗本願寺派(1万200カ寺余り)では、34選挙区から47人の僧侶議員が選出される。かつては選挙区間の「一票の格差」が5倍を超えていたこともあって、長年にわたり格差是正の必要性が叫ばれ、選挙区割りの変更、定数増員などが行われてきたが、いまだに抜本的な是正には至っていない。この課題は「宗法」改正時にも積み残されたが、「宗会議員の影響力が大きかった昔に比べ、宗会の職務権限は小さくなった。現在では有権者の議員への関心が薄くなり、格差是正を訴える人がいなくなった」と、議員の一人は分析する。

寺院数3500カ寺の高野山真言宗は10選挙区から27人の公選議員を選ぶ。定数是正の取り組みはないが、事実上、宗務総長が指名する塔頭寺院住職ら5人を含む10人の耆宿議員の存在意義が問われている。

ある公選議員の一人は「昨年の宗会では資産運用損失問題ではほとんどの耆宿議員が総長側につくなど、内局の翼賛要員となっている」と指摘する。

全国60教区から選出された「教区代表」が予算審議などに当たる真言宗智山派(約2900カ寺)では、2000年に当時の宗務総長が、教区長会議と宗会がそれぞれ独立した他の教団と同じ議会制度を導入しようとしたが、宗会の議員定数を教区数の半分の30人にすることがネックとなり廃案となった。当時の教区代表の中に「教区代表のポストを失いたくない」という人の反対があったからだ。

「議員数が多過ぎる。半分でよい」と、曹洞宗の有力寺院の住職は言う。このように各教団で選挙区割りや議員定数をめぐり、さまざまな意見や動きはあるが、議員数削減はほとんど行われていない。

「議員は自らが不利になることはしない。定数削減より、自分が議員でいたいために、逆に定数を増やそうとする」とある伝統教団の元議員は自戒を込めつつ苦笑する。

そんな宗会議員の姿勢や資質にも問題があるのかもしれない。