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「パスティーシュ」小説を開拓したユーモア作家

清水義範さん(69)(1/2ページ)
2016年11月30日付 中外日報(ほっとインタビュー)

庶民の知識で宗教描く

他人の文体で書く「パスティーシュ」など、奇抜な手法で多くの小説を執筆。日常の出来事を違った角度から切り取り、笑いにしてきた。

(有吉英治)

作家 清水義範さん

1947年、愛知県生まれ。司馬遼太郎の文体で猿蟹合戦を記した「猿蟹の賦」など、「パスティーシュ」と呼ばれる分野を確立。推理小説『やっとかめ探偵団』、漫画家・西原理恵子氏とのエッセー『おもしろくても理科』などでも知られる。88年に『国語入試問題必勝法』で吉川英治文学新人賞。

作品のアイデアはどう生み出しているのですか。

清水ごく普通の生活を送っていて、家内と「最近よくテレビで見るあれって面白いね」とか雑談をしてまして、そういうところがほとんどネタ元なんですよ。日常の中で普通だと思っているものを、考え方をちょっと変えてみるととても奇妙で、裏から見てみると笑えるんじゃないかと。そういう発想法ですね。

葬式を契機に人生ドラマが展開する作品「死神」がありますが、日本人の死生観について。

清水「死神」を書いた時に考えていた日本人の死生観というのは、「死んだら良い人」。死んだ人の悪口を言ってはいけないというのが日本のルールで、皆で「惜しい人を亡くした」「天才だった」と、まるで死んだ人がそう褒めないと恨んで祟るかのように、とにかく良く言う。皆で寄ってたかってそれをやっているというのは、死んだ者が甦ってこないように、ちゃんとあの世に行ってくれるように送ろうとしているかの如くで、そういうことを言う人というのは死神じゃないかという思い付きでね。

丸谷才一先生の本を読んでいて、そうかなと思ったことだけれども、「御霊信仰」というのがあって、日本には無念に死んだ人は祀らないと祟る、だから神様にまつり上げてしまう。菅原道真とかを祀るのも、祟られるのが怖いからとか、おとなしく死んでほしいからという信仰があるのかなあとも思いまして。

それが日本の文化で皆が安心できるんだから、うまい方法だとは思いますけれども、考え方を変えると愉快な話だなあと思いつつ書いているわけで、半分ユーモア小説なんですけどね。