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日本の伝統色の再現に挑む染色家 吉岡幸雄さん(70)(1/2ページ)

2016年10月19日付 中外日報(ほっとインタビュー)

1200年前の色が出せない

「いにしえの色は美しい」――化学染料万能の時代に、古来の植物染めで寺社にも縁深い日本の伝統色を再現しようと挑み続ける。

(飯川道弘)

染色家 吉岡幸雄さん

1946年、京都市生まれ。早稲田大第一文学部卒。73年、美術図書出版「紫紅社」設立。88年、生家の染屋「染司よしおか」5代目当主を継承。92~93年、奈良・薬師寺と東大寺の伎楽装束を制作。天平時代の色彩を全て植物染料で再現し話題となる。第58回菊池寛賞、第63回NHK放送文化賞受賞。

22日から奈良で正倉院展が始まります。これまで宝物の色彩の美しさについて繰り返し語られてきました。

吉岡正倉院展には毎年行くのですが、1200年前の方が色がきれいです。インターネットなどで知識や情報は簡単に得られる時代になりましたが、なぜ色の美しさが昔に勝てないのかといつも疑問が起こります。

去年は木蘭色の「羅の袈裟」(七条褐色紬袈裟)が展示されていました。袈裟の制作をされる方と一緒に見ましたが、笑いながら「こんなものはできません」と。同じ物を作ろうとすると、まず糸作りから始め、織り機、染めの材料をそろえないといけない。

1200年前の色を見て「よし、やってやろう」と。

吉岡そう思い、昔の材料を使って挑戦しているのですが、できません。そこそこの色は出せるようになりましたが、「らしきもの」で終わってしまう。まだ何センチか足らないのです。足らないぐらいが(やりがいがあって)ちょうどいいのですが。

満足のいく色は簡単には出ない。

吉岡一つは大地が弱っています。いい作物もだんだん取れなくなっている。科学文明で自然を征服しようとして、地球を痛めつけてきたからです。

吉岡さんの仕事を追ったドキュメンタリー映画「紫」では、「染司よしおか」の染め職人・福田伝士さんが、紅花の色素が昔より減っていると言われました。

吉岡さらに言えば、神社・仏閣の方々がもう少し勉強して、色や素材への理解を深めていただかないといけません。

先日もある寺で講義をして、「ナイロンの法衣や袈裟を着てもらったら困りますね」と言ったら、終わってから10人ほどの方がやって来て、「今日は皆ナイロンなんです。すみません」と(笑い)。お寺や神社の物を化学的なもので作ってはあかんのです。私から言えば(笑い)。