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銀行アナリストから小西美術工藝社社長に転身

デービッド・アトキンソンさん(51)(1/2ページ)
2016年9月7日付 中外日報(ほっとインタビュー)

文化財保護 観光に貢献

京町家に住み、茶道をたしなむ英国生まれの元銀行アナリスト。文化財業界と宗教界の「今」と「これから」を、やや辛口に斬る。

(杲恵順)

小西美術工藝社社長に転身 デービッド・アトキンソンさん

1965年、英国生まれ。90年に来日、92年に米銀大手ゴールドマン・サックス社に入社。日本の不良債権の実態を暴くリポートで注目を集めるが、マネーゲームを達観し、2007年に退社。軽井沢の別荘が小西美術工藝社の先代社長と隣り合った縁で09年に入社。11年に会長兼社長に就任。

著書の『国宝消滅』の中では、文化財分野を国の「コスト部門」から「投資対象」へと変貌させる必要性を指摘し、主に「観光資源」として着目されています。

アトキンソン人口減少によって、特に地方では神社仏閣を支えている檀家や氏子さん、観光客が激減しています。そして「人」が減ることで企業も弱体化し、寄付も集まりにくくなっています。今後、この流れは加速し、文化財の維持・保護がより困難となっていくことは間違いありません。

文化財の維持には国からの補助がありますが、国は医療や福祉、介護等の巨大なコストを抱えており、さらにはそれらを負担する若い世代の人口減少の問題にも直面しています。ですので、文化財だけが特別扱いされることはあり得ません。現状の50%の補助率さえ危うくなることも予想されます。

文化財業界はこれまで「文化は特別で守るべきだ」という考え方でやってきましたが、今の時代、その考え方は通用しない。それは、文化に対する日本人の理解がなくなったからではありません。財務省は「文化財は贅沢品である」という意識を非常に強く持っていますので、他分野のコストがかさむ中、贅沢品と思われるところから予算を削るしかないのです。

では、文化財は本当に贅沢品か。私は違うと思います。歴史や文化は観光戦略の一つのコンテンツとして国策的に、経済にとって最大の伸び代のある分野と見ています。これまでの「贅沢品(コスト部門)」から「経済に貢献するもの」として、国の先行投資が必要です。

今年3月には、観光戦略が国策にもなりました。文化財を多く所有する宗教界からは「宗教施設は観光資源ではない」との声もありますが、国の余裕がなくなっている中、宗教者も、宗教活動だけに専念することはできなくなりつつあります。