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ロボット研究の第一人者 石黒浩さん(52)(1/2ページ)

2016年7月20日付 中外日報(ほっとインタビュー)

「本当の私」他者の中に

人間に酷似した見かけのアンドロイドなど様々なロボット製作で知られるが、自身のロボット研究は「人間とは何か」を考えるための「ただの手段」と言う。人間理解の深化こそが、本当の生きる意味だと指摘する。

(池田圭)

第一人者 石黒浩さん

大阪大特別教授。産業用ロボットではなく、日常活動型ロボットの研究を世界に先駆けて展開。人と関わるヒューマノイドやアンドロイド、自身のコピーロボットであるジェミノイドなど多数のロボットを開発してきた。著書に『どうすれば「人」を創れるか』『アンドロイドは人間になれるか』など。

ロボットの研究をしていて分かってきたことは?

石黒何が幻想で、何が幻想でないのかという区別が割とできるようになってきたかもしれません。例えば、「心」は幻想に近い。

「心」が本当に実在するのかは確かめようがありません。しかし、単純な動作をプログラムしたロボットの動きを見てもみんな、そのロボットに「心がある」と言うんですよ。

それはそのロボットとの関わりの中で「相手の心」を想像するからです。つまり「心」は観察する側の問題。逆に言うと、そうした「想像」させる余地を設けることが人間らしいロボットを作る要素になります。

人間の感覚器は全部外側を向いているので、基本的に自分の内側を自分で観察することはできません。だから世の中に自分を映し出しながら自分を理解するしかない。他者との関わりの中で初めて「私」や「自分」が顕在化してくるわけです。

もちろん自分の肉体は現実にあるのですが、「本当の私」という実体が肉体にあるというよりは、他者との関わりの中で初めて「本当の私」が見えるという気がします。人間は社会性の動物というか、世界がなければ自分は存在できないというか、そういう確信がありますね。

仏教の縁起の考え方に似ていますね。

石黒浄土真宗の関係者が主催する講演会に招かれたことがあるのですが、僕の書いた本の内容が仏教みたいだと言われました。僕は研究者なので宗教と一緒と言われて喜ぶかと言えば、喜ばない。でも、考えが同じなのは自分の考えが正しいことを裏付けてくれるので、悪い気はしませんね。