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インドで修行、仏教にほれ込んだ俳優 滝田栄さん(65)(1/2ページ)

2016年7月6日付 中外日報(ほっとインタビュー)

家康通じ釈迦と出会い

大河ドラマ「徳川家康」(1983年)の役作りを通じ、仏教の素晴らしさを知った。時の為政者には仏教に基づく大義があったとし、私欲にまみれた現代社会に警鐘を鳴らす。

(赤坂史人)

俳優 滝田栄さん

1950年、千葉県生まれ。文学座養成所から劇団四季を経て独立。テレビでは「草燃える」「徳川家康」など多数主演。「料理バンザイ」の司会を20年間、舞台「レ・ミゼラブル」主役ジャン・バルジャンを14年間務める。俳優の仕事以外に仏像制作、仏教の研究、講演活動、執筆等。

人生に大きな影響を与えたのが徳川家康だと聞きました。

滝田家康の役作りから、深く深く家康の心を探っていって、たどり着いたのが仏教です。家康は生涯、質素な生活を送り、民を思う私欲のない将軍でした。

家康役のお話を頂いた際は、全く家康のことが分かりませんでした。だから幼少期に、今川義元の人質として預けられた臨済寺(静岡市葵区)に行けば何かヒントがあるのではと思いました。

無理を言って寺に置いてもらいました。修行僧と一緒に庭の掃除をした後、朝のお粥を頂くのですが、初めに五観の偈を唱えます。「一つには、功の多少を計り彼の来処を量る」。どこから来たのかを考えなさいということです。まず百姓が一生懸命に作って、それを運ぶ人がいて、給仕してくれる人がいて……。もう少し深く考えると、米自体や太陽、空気、大地などの大自然、さらに大本には自然をつかさどっている神様や仏様のような、大いなるものがあるのではないかと思いました。家康も必ずこれを一緒に唱えたはずで、百姓の苦労を理解したからこそ民を大事にしたのです。

家康の思想の背景には仏教があるということですか。

滝田「天下は天下のための天下である」という言葉を残しています。徳川家一家のための天下ではないと。この世の大多数を占める民百姓のための天下なのだと。また「慈悲の政治」を標榜しました。これも仏教観です。もう一つ遺言しているのが「足るを知る」。絶対にぜいたくを求めてはいけないと。そして家康の旗印は「欣求浄土 厭離穢土」でした。戦国時代は、今の中東のIS(「イスラム国」)のような状態が延々と続いていた。その穢れた時代を終わらせ、浄土つまり平和にした。家康は本当の大義というものを持っていました。今の政治家に爪の垢を煎じて飲ませたいですね。