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参列者が念仏を称える中、伊藤門主は1292霊の法名が記された御回向帳を1枚ずつ手繰った
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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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教師自ら向上心を持て

上宮学園理事長・学園長 田中裕史さん(60)

2016年9月16日付 中外日報(ひと)

田中裕史さん

出勤後の校長室での短い勤行が、日課となっている。理事長や校長経験者らの戒名を唱えて回向する。上宮中高校長に就任した2011年からの習慣だ。

5年前には4霊への回向だったが、7月に亡くなった安井良道・前理事長の戒名も加わり、今は8霊になった。「先生方のおかげで今の上宮学園がある。お礼を込めて、そして見守ってくださいという意味で、毎朝の回向は欠かすことができない」

7月に理事長に就任したばかりだが、4年後の創立130年に向けた新校舎の建築や、文部科学省が主導する高大接続改革への対応など、多くの仕事が待ち受けている。

「化学」「情報」などの授業で教壇に立ち、教職員の事務仕事をコンピューターで処理するためのプログラム構築にも携わった。

滋賀県の浄土宗寺院に生まれたが、宗門大学には進まず、大阪市立大で化学を学んだ。

高校で実験の面白さに引き込まれた。薬品を混ぜると薬液の色が変わったり、沈殿物ができたりする反応に目を輝かせた。

教職を目指そうと思った時、脳裏に浮かんだのは、風貌からオーストリアの有名指揮者になぞらえられ「カラヤン先生」と親しまれた母校・膳所高の化学の教師だった。穏やかで叱ることもしなかったが、自然に生徒たちを導いていた。

「そんな先生になりたい」と望んだが、実践することは「なかなか難しい」と笑う。だが、「教師が理想に近づこうとすることが大切。自らが向上心を持っていなければ。その気持ちが生徒に伝わっていくはずだ」と信じる。

(丹治隆宏)