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参列者が念仏を称える中、伊藤門主は1292霊の法名が記された御回向帳を1枚ずつ手繰った
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西山の念仏を伝えたい

西山浄土宗管長・総本山光明寺法主 堀本賢順さん(75)

2016年7月13日付 中外日報(ひと)

堀本賢順さん

「計らいというほかない。目に見えない力が働いているように思う」。21日、第86世法主として入山式を迎える。

神戸大卒業後、福祉施設で働いていたが、1967年に父の賢章氏が56歳で亡くなり、宗門の教師養成機関・京都西山短期大で学ぶことになった。そこで出会ったのが、後に第81世法主になる上田良凖氏だった。卒業後も教えを請い、同氏の学長就任に伴って西山短大に呼び戻され、学監を務めた。「学長と学監は、いわば野球のピッチャーとキャッチャーのようなもの」と、当時の関係を表現する。

上田氏が亡くなって20年が過ぎようとしているが、変わらず師の恩を尊ぶ。12月28日の祥月命日には、自坊だった浄福寺(京都市北区)に通い、遺影に向かい合う。2013年、上田氏が法主在任中に開いていた「広谷法談」が復活されると、請われて講師に。「広谷法談」は一方的に講義するのではなく、参加者が互いに意見のやりとりをして、宗門教師が切磋琢磨する場になっている。

法主になった今、「私どものお念仏を伝えたい」と願う。西山教義に関する論文を多数手掛けてきた。流祖證空上人の思想は哲学的で難解ともいわれる。だが、宗祖法然上人から脈々と受け継がれてきた「西山の念仏」とは、「私たちを救ってくれる阿弥陀様のお心に気付かせていただいたら、あまりのうれしさに、ほれぼれと称えるようになる念仏だ」と、證空上人の言葉を用いて分かりやすく解き明かす。「結局仏教は人の心を救済するもの。教えに触れた方々が良かったと思えるようにしたい」と穏やかに語る。

(丹治隆宏)