ニュース画像
参列者が念仏を称える中、伊藤門主は1292霊の法名が記された御回向帳を1枚ずつ手繰った
主な連載 過去の連載 エンディングへの備え
苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
購読のお申し込み
新規購読キャンペーン
紙面保存版

臨済禅を根付かせる

インドに臨済禅道場「印度山曹源寺」を建てた ボディ・ダンマさん(55)

2016年6月15日付 中外日報(ひと)

ボディ・ダンマさん

5年かけて托鉢し、その浄財でインド中南部テランガーナ州に建設を進めてきた印度山曹源寺が完成した。同国初の臨済禅の拠点、次代を担う人材育成の道場だ。「臨済禅を根付かせるため、弟子を育てるのが私の責任です」と語気を強める。

ダリット(被差別民)の出身。アンベードカル博士のカースト否定・仏教改宗運動に共鳴し、来日して多くの外国人が修行する岡山の臨済宗妙心寺派曹源寺の門をたたいた。学生時代はレスリング選手で、小柄だが見るからにパワフル。原田正道老師のもと禅の修行に全力で取り組み、母国で仏教改宗運動を始めてからは、雲水衣で各地を巡りカースト差別に苦しむ人々に仏法を説いた。

並外れた行動力だ。曹源寺建立を発願すると、仏縁を伝って日本国内545カ寺を行脚した。集めた浄財でアーデラバード市郊外に土地を取得し、禅堂など伽藍を建立。8月25日には原田老師を住職に迎え、晋山式を営む。宿願をかなえた。

「政府統計には反映しないが、ダリットの仏教徒は多い。人口20万~30万のアーデラバードに改宗仏教徒は5万人います。特に女性が熱心で、ヒンズー教から脱け出た印象が強いですね」

ただ「仏教としてはまだ幼稚園段階」というのが実感。インドの仏教、臨済禅の将来を担う人材づくりの重要性を痛感し、寺内に設けた禅塾で、後継者養成に力を入れる。

こうした活動をよく知る龍谷大の佐藤智水客員教授も「仏教に出会った現地の人の生き生きした表情を見て、インドの仏教には未来があると感じました」と期待を寄せている。

(津村恵史)