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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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東日本大震災教団アンケート

原発対応 ―― 避難者の苦境にどう対処

2012年9月13日付 中外日報

未曾有の災害といわれる東日本大震災をより一層深刻なものにしているのは、この震災によって引き起こされた東電福島第1原発の事故だ。これまで経験したこともない原発事故に遭遇して日本の社会は大揺れに揺れている。そんな中で宗教教団はこの事態をどのように受け止め、教団内、そして一般の被災者らに対応したのか。

原発事故以来、国のエネルギー政策の一翼を担ってきた原発の是非をめぐり世論が沸騰しているが、宗教界の反応はどうなのか。

原発事故に対してこれまでに声明、決議などの形で教団の意思を表示しているのは、真宗大谷派、臨済宗妙心寺派、曹洞宗、日蓮宗、立正佼成会、カトリック教会、日本基督教団、創価学会の8教団である。

仏教系の各教団は「少欲知足」などの教えに基づき、原発依存からの脱却と再生可能(持続可能)エネルギーへの転換を訴え、キリスト教系の2教団は原発の廃止を求めている。

大谷派は今年6月、野田佳彦首相の関電大飯原発の再稼働表明に対しても、安原晃・宗務総長名で声明を発表して「強い遺憾の意」を示した。

この他に真言宗智山派、浄土宗は、昨年末の全日本仏教会の宣言「原子力発電によらない生き方を求めて」を支持。

また天台宗が事務局を務めて8月に開かれた比叡山宗教サミット25周年記念「世界宗教者平和の祈りの集い」では、「原発を稼働し続けることは宗教的、倫理的に許されることではない」などとする「比叡山メッセージ」が発表され、国論を二分している原発問題について、少なからぬ教団が"脱原発"の意思を示していることは注目される。

ただ、原発事故で避難生活を送るある住職が「『脱原発』とかそういうことよりも、われわれにとっては目の前のさまざまな困難の方がより深刻だ」と語ったが、各教団にとってはこうした教団内の声にどう応えていくかが切実な問題。

震災から1年半が経過した現在も原発から20キロ圏内の警戒区域は一部を除いてほとんど解除されておらず、先述の住職のように警戒区域内の寺院、神社、教会、支部の中には、檀信徒、信者も全国に離散して活動再開のめども立たない苦境に陥っている所も。

各教団はこうした被包括法人や檀信徒、信者に対し、宗費等減免や住宅支援ボランティアで檀信徒の避難先の提供(妙心寺派)、警戒区域内の寺院に災害救援基金と義援金合わせて3千万円の給付(日蓮宗)などさまざまな支援を行っている。

寺院などが行った除染費用を負担している教団もある。曹洞宗は福島県内の寺院に放射能測定器を貸し出し、福島県宗務所などを通じて除染費用を補助し、神社本庁も神社が地域の復興と氏子との絆の回復のため独自に除染を行う場合にはその経費を支援している。

福島県内に支援のために拠点を構えているのは浄土宗、浄土真宗本願寺派、創価学会。本願寺派はJR福島駅前に今年2月に福島県復興支援宗務事務所を開設、避難中の寺院の復興支援、門信徒の遺骨の一時預かりなどを行うとともに、避難中の住職らを経済的に支援するため事務所の専従員として雇用している。

また教団という枠にとらわれず、原発事故で避難生活を余儀なくされている人たちや、放射能汚染におびえながら暮らす人たちに対しても、各教団がさまざまな支援を行っている。回答中で最も多かったのは教団施設などを提供しての被災者の受け入れである。

カトリック教会は被災者が安全に避難できる施設の提供を教会や修道院に呼び掛けるとともに、「緊急時には外国人の方々との関わりがなおざりになる」と、特に外国人との連絡を強化して受け入れに努めた。

高野山真言宗の森林セラピーなど、戸外で自由に遊べない福島の子どもたちや保護者の心のケアを目的に、自然との触れ合いを中心とする短期日程の「保養プログラム」を継続的に開催する教団も多い。

高野山真言宗の他にも浄土宗、本願寺派、大谷派、曹洞宗、真如苑、日本基督教団などが取り組んでいる。

この他にも放射能・放射線の測定器の貸出(高野山真言宗、曹洞宗、大谷派、真如苑、金光教)をはじめ、延べ1700人余りのボランティアの派遣(天理教)、有機農家の野菜、米の購入(真如苑)、安全な飲料水の提供(大谷派)、風評被害を防ぐポスター作製(曹洞宗)など多彩な支援活動を展開している。