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危機的状況にある教団 問われる宗議会の姿勢

2017年3月3日付 中外日報(社説)

2月下旬から3月上旬にかけて伝統仏教教団などで、新年度の予算案などを中心に審議する宗議会が相次いで開かれている。

少子高齢化、過疎、人々の宗教離れなど教団を取り巻く社会状況は厳しさを増している。

本紙が一昨年に全日本仏教会加盟の10大教団を対象に実施した調査(取材)では、過疎の影響などで将来における寺院運営への不安から、後継者問題に悩む寺院が少なくなく、また無住や兼務・代務住職の寺院も増えており、全寺院の3割以上が無住、兼務・代務という教団もあった。

このような事態を重く見た各教団では、宗務総長・総長らが「変化に対応できない僧侶は時代に取り残されていく。寺院も僧侶も選ばれ、あるいは捨てられるであろう時代の到来だ」などと、議会で強い危機感を示してきた。

また、過疎化が進む地方都市の農山村では、長い歴史を持つ寺院であっても維持が困難となり、他の寺院との合併や解散を行わざるを得なくなっているが、所属する寺院の減少は教団財政の縮小につながり、従来のような前例踏襲の予算編成はもはや成り立たなくなっている。

教団の将来をしっかりと見据え、限られた浄財をいかに有効に活用するのか、それぞれの教団当局の行財政手腕が問われている。

自らの任期中に結果や評価を求める短絡的な施策ではなく、10年、20年後の教団や寺院、僧侶の在り方の基盤構築につながる長期的な視点に立った施策、宗務が求められている。

議会、議員の側にも同じことが言える。さまつな出来事などを取り上げていたずらに宗務当局を攻撃し、また議会内の会派・派閥間で人事などをめぐり争うなどといった、昔の永田町的な「政治」が通用する時代ではない。

もちろん、行政のチェック機関としての立法府の責任、役割はきちんと果たすべきだが、あくまでも議論は教団の将来を見据えた建設的な内容であるべきだ。自らが具体的な対策や解決策を持たない問題で当局を追い詰めようとしても不毛の論議にしかならない。

過疎や少子高齢化、人口減少は寺院の消滅だけではなく、各宗派の教線の縮小を招く。国全体の問題であるこれらの課題を教団独自で解決することは不可能であるが、こうした厳しい状況の中でどうすれば教線を維持していけるのかを考えるのは教団の課題だ。そのことを今、真剣に考えて議論しておかなければ、教団当局者も議員も後世の歴史家らの厳しい批判にさらされることになるだろう。