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超高齢社会 生涯現役の宗教者に期待

2016年10月19日付 中外日報(社説)

社会の高齢化率を示す指標は7の倍数で表される。65歳以上の高齢者の割合が7%になれば高齢化社会、14%以上が高齢社会、21%を超えると超高齢社会と称される。先般、2015年国勢調査の抽出速報集計が公表され、我が国の高齢化率が過去最高の26・7%であることが明らかになった。

高齢化率は地域によってもばらつきが大きい。別の統計であるが、高齢者が半数を占める過疎地域の集落は、同年4月には1万5千を超えた。10年前に比べると1・5倍の増加だ。そのような集落は全体の2割を超えているという。日本国民の4人に1人が高齢者であり、過疎地域においては実に2人に1人が高齢者という所も出現している。

しかし、だからと言って、社会保障費がかさむとか、社会の活力が無くなるとかいう負の側面ばかりで捉えるべきではない。むしろ、高齢になっても生き生きと元気な人々は少なくないし、熟年の経験と知恵で可能なこともいろいろとあるはずだ。また、これだけ高齢者の割合が高くなると、高齢者の間でお互いに分かり合えることも増えてこよう。

例えば、現在ホームヘルパー(訪問介護員)の36%が60歳以上だといわれる。中には70代や80代のヘルパーもいる。高齢ヘルパーは身体介護よりも主に家事支援が中心であるが、在宅の高齢者にとってはお互いに同じ世代であるという安心感がある。

そのように考えていくと、超高齢社会の心のケアの担い手はまさに高齢宗教者だと言ってもよいのではないだろうか。他の職業の従事者に比べると宗教者の寿命は高いという指摘もある。理由としては、朝夕の勤行を通じて規則正しい生活をしていること、質素な食事を感謝の心で取っていること、修養や精進を欠かさず続けていること、神仏に委ねた生き方を自ら実践していること――などが挙げられる。

これからは団塊の世代が後期高齢者になり、やがて死亡平均年齢を迎えるようになる。そうした時代にあって、高齢宗教者のニーズがいっそう見込まれる。高齢者同士なら気持ちも通じやすいし、信仰や悟りも若年世代には得られないものがある。また、親から子へという世代間の信仰継承だけでなく、高齢者同士での同世代相互での新たな布教伝道の可能性も出てこよう。社会での経験知を生かせるという意味で、熟年からの新たな宗教者の参入も歓迎したい。

宗教者は生涯現役である。高齢宗教者にはこれから大いに期待するものである。