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共同牧会と兼務寺院 過疎地の世代間信仰継承

2016年9月21日付 中外日報(社説)

長い歴史を持つ寺院や神社が、過疎化の進行とともに存立の基盤を奪われてゆく。解散・廃寺にまで至らなくても、住職の兼務で辛うじて存続の道を探る例がこれから一層増えるだろう。過疎は仏教・神道だけの問題ではない。キリスト教でも、教会の成立事情、運営の環境は異なるが、信者数減少と高齢化の深刻さは共通する。

過疎化の進む地域にあるキリスト教の教会が存続を図る方法の一つに「共同牧会」というシステムがあるという。東京・早稲田大で10日に行われた日本宗教学会学術大会のあるパネルで、川又俊則・鈴鹿大短期大学部教授が「多世代信者をつなぐ『協働』牧会―複数教会の支えあい」と題して報告し、「共同牧会」の事例を紹介した。

共同牧会は1960年代初頭に日本基督教団が打ち出した伝道圏伝道の構想を踏まえたもの。例えば、同教団北海教区苫小牧地区は広い地域に散在する八つの教会があるが、「現住陪餐会員」という一般信徒が50人以上の第1種教会はわずか2教会。この8教会の牧師・信徒が「互いを尊重しながら一つの教会であるように」支え合う態勢を取る。京都教区丹波教会、亀岡教会が合併した丹波新生教会は、地域の4会堂を2人の牧師(現在1人)が担当し、各会堂の信徒も共通の問題を抱える地域の信仰者として連帯する。

仏教界でも共同牧会と似たようなプランを聞いたことがある。臨済宗妙心寺派のある教区で若手僧侶が中心になって、兼務寺院などをまとめ、地域の和尚が共同責任で檀務を行う計画を立てた。結局は実現には至らなかったが。

日基教団の伝道圏伝道立案は半世紀前の話。ある長老の牧師によれば、現在はあまり行われていないという。「個別教会主義で、チームワークが取れない。工夫が足りなかったのでしょう」との見方だ。川又教授の発表にフロアからは、過疎地教会「協働」の現実の厳しさを強調する指摘もあった。しかし、こうした共同あるいは協働の必要性は50年前よりさらに高まっていると考えていいだろう。

過疎地の寺院の研究業績もある川又教授は、檀徒の寺院帰属意識が薄い仏教は、世代を超えた信仰継承という点でキリスト教より厳しく、「今後10年ほどが(過疎地寺院生き残りの)ヤマ場になるだろう」とみている。危機を乗り越えるため、個別寺院主義を超え、問題を共有する僧侶、檀信徒の連帯を強化するのは有効な対策かもしれない。若手僧侶が考えた上記の組合的互助構想の意義も評価していいのではないか。