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少子高齢化時代 仏壇に手を合わせるとは

2016年8月24日付 中外日報(社説)

お盆が終わり、夏の盛りも過ぎた。家族で墓参りをした人々も多いだろう。普段は仕事や生活に追われていても、墓参りの時には故人に手を合わせ、今は亡き親や先祖とのつながりに思いを馳せたのではないか。

しかし、日常にあってもそのような祈りの時間と空間は必要である。これを担ってきたのが家の仏間と仏壇である。旧家に行けば仏間があり、そこには立派な仏壇が置かれ、先祖代々の位牌も祀られている。住宅事情の問題があるとはいえ、かつてはどの家にも仏壇があった。しかし現代では、仏壇を置いていない家は6割、マンションやアパート住まいの場合だと8割の家庭に仏壇がないという。スペース的に置きたくても置けないのが現状だ。

そこで、そのような狭い部屋でも置ける小型の仏壇が注目を集めている。簡易仏壇、現代仏壇、ミニ仏壇、厨子仏壇、祈り壇などと呼称は一定していないが、仏壇業者のサイトにはそうした様々な小仏壇が写真入りで紹介されている。ユニークなものでは液晶画面に遺影や位牌が表示されるなど、種々の機能の付いたデジタル仏壇まである。和室だけでなく洋間にもしっくりくるデザインの仏壇も工夫され、価格は安いもので数万円程度と、従来の仏壇に比べてお手頃で求めることができる。

仏壇の本尊については、確かに宗派によって取り決めの違いがあり、厳しい宗派では本山から下付されたもののみを正式なものとするところもあろう。ただ、核家族や単身家庭の割合が増えた。あまりに厳密に本尊の取り決めや祀り方の様式について要求することは、かえって仏壇離れを加速させる恐れがある。むしろ、少子高齢化時代においては、供養や祈りの形は実情に応じて多様であってよいのではないか。

何より大切なことは、仏壇離れの進む現代日本人の家庭にあって、仏に祈り、先祖に手を合わせる拠り所をいま一度確保することである。そのためには、故人の写真立てだけを置くよりは、やはり小さくても本尊仏が安置された仏壇が望ましい。一人または家族で手を合わせるところに、敬虔な雰囲気も生まれてこよう。

仏に向き合い、先祖とのつながりを自覚することは、自分自身と向き合うことでもある。ただ単に生者との交わりだけで生きるのでは、人生は浅薄化する。普段の暮らしの中でも、死者との交わり、また仏を通じて大きないのちのつながりを感じることにより、真に充実した生き方を送ることができるだろう。