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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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参院選後の日本 政治を直視する必要

2016年7月20日付 中外日報(社説)

参院選で与党が圧勝し改憲勢力が数を増したことで、国の行方を左右する重要問題に対し宗教界もこれまでどう対応してきたか、今後どうするのか、総括と今後の姿勢を問われている。憲法については9条や緊急事態条項に加えて直接自らに降りかかってくる信教の自由の問題もある。改憲によって例えば特定の宗教と政治権力が結び付くことが容認され、戦前の国家神道の再来のような状況にならないことを願うばかりだ。

南スーダン派兵による犠牲者も懸念される中での安保法問題、国民生活に直結する福祉、迷走を続ける原発問題など、宗教者も黙ってはいられない諸課題で、強大になった与党が数の力を頼んでゴリ押しをしてくるかもしれないとの心配が広がっている。

政教分離の原則を曲解して宗教が政治に関係するのを問題視する傾向は、さすがに減少している。宗教教団が人々のいのちや暮らしに関係する政治問題に関わることは何ら問題がないどころか、このような時代にこそ、世の中を良くする指針を分かりやすく、明確に示すことが求められている。

ただこれは、その宗教固有の教えに深く根差し、信仰に基づいた価値観、世界観が前提にあるからこそ、意義と重み、そして一般の人々への説得力を持つ。そして、その前提があって初めて、宗教が政治に関わる意義がある。

今回の参院選では、政府自民党を支持すると見なされてきた新宗教教団が、安保や原発問題で政府与党不支持をあえて表明した。理由は「私たちの信仰や信念と相容れない」「日本を再び間違った道へ進ませないために」と明確だった。この安保問題と原発に関する姿勢を他の新宗教団体も支持して注目された。

今後の改憲論議で問題になりそうな自民党の草案などを受けて、憲法を深く知るための勉強会を開く教団も目立ち、新日本宗教団体連合会は信教の自由と立憲主義についての学習会を各地で続けている。選挙前には、仏教、キリスト教、イスラム教など教派を超え、「殺さない 殺させない――今こそ宗教者・信者として」という集まりが「戦争法に賛成する議員には投票しない」との呼び掛けを国民に向けて発した。会場では「いのちを大事にするという教えの根幹から来る働き」などの訴えが聞かれ、集会アピールで宗教界の過去の戦争協力を懺悔した。

人々の心の奥底に訴える宗教の力はとても強い。この国が大きく揺らぐ今だからこそ、正しい状況判断に立ったその発信力が要請される。