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英国EU離脱の背景 反グローバル化の動き台頭

2016年6月29日付 中外日報(社説)

英国で23日に行われた国民投票の結果、同国がEUを離脱することが決まった。事前の予測では、僅差ながら残留を選ぶ人が多いとみられていたので、この結果は衝撃を世界にもたらしている。

何が英国民にこのような選択をさせたかは、簡単にまとめることはできないが、反グローバル化の問題が強い影響をもたらしていることは確かである。移民の流入の増加が、離脱派を支える一つの大きな理由であったことからそれが推測される。

グローバル化の流れは21世紀になってその勢いが加速化しているが、それがもたらしたと考えられる諸問題に、少なからぬ人々が不安や警戒を抱くようになってきた。その意味でこの問題は日本にとっても経済的な衝撃だけではない、もっと広範な領域に及ぶという視点を持っておくことが重要である。

ヨーロッパは20世紀前半に2度の大戦を経験し、隣国同士の戦いによって多くの死者を出し、物的損失や精神的な痛手も計り知れなかった。欧州共同体(EC)の成立にもこの痛ましい経験が関わっている。1967年にECが設立され、ヨーロッパ各国の協力体制は一段と進んだ。ECを母体に、93年11月1日にEUが発足した。当初は12カ国であったが、現在28カ国が加盟している。英国は当初からの加盟国である。

戦争への反省を含んでいた故に、EC、EUと絆を深めていくヨーロッパ各国の協力体制は、異なる文化、価値観を持った人々の共生の一つの在り方という意味も持っていた。しかし、グローバル化の勢いはすさまじく、その負の面はどの国においても無視できなくなった。イスラム問題の占める比重も急速に拡大している。

国民投票は世代間によって大きな違いがあり、これはグローバル化への対応という意味では実はとても大きな意味を持っている。全体では離脱派が約52%を占めたわけだが、18~24歳は残留派が圧倒的に多数であり、75%に達する。25~49歳では56%でやはり残留派が多数派である。しかし50~64歳では44%となり、65歳以上では39%と残留派は明らかに少数派である。

つまりは高齢者が離脱を支持したということである。若い世代はグローバル化を当然のこととして育っている。社会や文化の在り方が変わっていくことに抵抗が少ないのかもしれない。反グローバル化は日本でも様々な面に噴出しているが、世代間がどう異なるかに注目することが非常に重要であると思わせる結果となった。