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日本会議の位置 知られざる宗教的背景

2016年6月15日付 中外日報(社説)

日本会議に関する書籍、論文、雑誌記事などが今年に入って急に増えた。中でも4月末発売の菅野完著『日本会議の研究』(扶桑社新書)は大変な話題となり、一時はアマゾンの売れ筋ランキング総合で1位になるほどだった。

この本に触発されたかのような週刊誌記事も幾つかある。これだけ話題となったのは、一般の人がほとんど知らなかった日本会議と安倍内閣とのつながりを解きほぐしたからだろう。

憲法改正を悲願とする安倍首相の周りには当然それを支えるような人々が集まる。本書はそうした多くの人たちと面談を重ね、彼らの大半が日本会議のメンバーであることを明らかにしている。

日本会議の役員には神社神道、教派神道、伝統仏教宗派、神道系新宗教、仏教系新宗教などの指導者たちが名を連ねる。同書によれば、その中核にいるのは、かつて生長の家の創始者谷口雅春氏を信奉していた人たちであるという。

同書が扱っていることは「政治と宗教」という宗教研究においては古くから関心を抱かれてきたテーマに深く関わる。しかし日本会議がこれほど多くの宗教関係者から構成され、かつ政治に非常に密着した存在であることに気付いていた研究者はあまりいない。

政治と宗教の問題は、創価学会が公明党を結成した時には大きな関心を呼ぶテーマだった。公明党が野党であり自民党を脅かす存在であった時代には、宗教団体が政治に関わること自体を否定的に論ずるものも少なくなかった。しかし、今日の政教分離の理解では、宗教の側の政治活動は問題ではなく、国家の側からの信仰への介入が問題であるということで、この点についての議論は、ほぼ収まっていると言っていい。

しかし、日本会議をめぐる問題は、政権の目指すところを宗教関係者が支えるという側面だけでなく、政権が宗教関係者に強く働き掛けて政策を実現するという側面もある。むろん、政治家の宗教利用は昔からあったことで、法的に問題があるわけではない。重要なのはこの構造に多くの人が気付いていなかったということである。

創価学会と公明党の関係は公に知られたことである。しかし日本会議がどれだけの宗教関係者を支持者とし、それがどのような政治的影響を持っているかは、最近の出版物や報道で初めて知ったという人が大半だと思われる。

憲法改正にも絡む問題だ。日本会議の活動の是非はともかく、どのような関係が構築されているのか、少なくとも宗教関係者は事実を正確に認識すべきだろう。