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オバマ時代総括へ 核廃絶・広島談話に期待

2016年5月13日付 中外日報(社説)

オバマ米大統領が必ず広島を訪問するだろうと感じさせたのは、ケリー米国務長官の言動である。4月10、11日に広島で開かれたG7外相会合の参加者は、岸田文雄外相の案内で広島平和公園を訪れて原爆慰霊碑に献花した。この時ケリー長官は各国外相に声を掛けて元安川を渡り、400メートル離れた原爆ドームに足を運んだ。

そしてヒロシマの悲劇を象徴する世界遺産の建物を、じっくりと視察した。警備陣は、外相らの予定外の行動に驚いたらしい。

献花に先立って外相たちは、原爆資料館を訪れている。どの外相も、知識としては71年前の広島の被爆をわきまえていた。しかし、焼けただれた展示物を見ての衝撃は大きかった。そのことは「核廃絶への決意を新たにした」という各外相の「記帳」に表れている。まさに「百聞は一見に如かず」であった。

ケリー長官は自らも味わったであろうこの衝撃を、各国の首脳にも体験してもらいたいと感じたのではないか。その手始めに、まずオバマ大統領をこの地に立たしめるべきだ、と。そのことは、G7外相会合終了後の言動から察することができる。

原爆を投下した国の現職大統領を招いて、被害の実相を認識してもらいたいというのが、広島・長崎両市民の願いであった。非人道的な兵器を使用したことへの謝罪を求める声が、被爆者の間に高いのは当然だ。

しかしここは、前向きに考えるべきではないだろうか。米国の大統領が広島の地に立ち、核なき世界実現への決意を語ることで、新しい時代が開けるはずだ。謝罪の心は、決意表明の中から、以心伝心で感得できるのではないか。広島は浄土真宗法義の地であり、宗教心をもって受け止める人も多いであろう。

オバマ大統領は就任直後の2009年4月、プラハでの演説で「核なき世界」実現を訴えた。ケリー長官の進言を待つまでもなく被爆地訪問を志しているはずだ。オバマ大統領が今月27日に広島を訪問すれば、他国の首脳の来訪の呼び水になると思われる。今から71年前に造られた核兵器ですら、これだけの惨禍をもたらしたと知れば、核を持つ国の首脳も、核は持たずと決意している国の首脳も、身の引き締まる思いを感得するに違いない。

中西寛・京都大教授は、オバマ大統領が世界を動かすような言葉を広島の地から発信することへの期待を述べている。大統領在任の「レガシー」となるヒロシマ談話を待つことにしよう。