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人口減少社会 宗教界に重くのしかかる変化

2016年3月9日付 中外日報(社説)

日本の人口が2015年国勢調査(2月26日発表)でついに減少に転じた。国勢調査は5年ごとの実施で、人口減が数字に表れるのは1920年の調査開始以来、今回が初めてだが、総務省の人口推計や厚生労働省の人口動態調査では出生数から死亡数を差し引いた「自然増減」はすでに早くから始まっていて、2011年が人口減少の開始年とみられている。

最新(2月1日現在)の人口推計の概算値によれば外国人を含む総人口は1億2681万人で、前年同月比0・14%減。戦後のベビーブームを経て人口が1億人を突破したのが1967年。国勢調査が始まった20年には約5600万人だったのだから爆発的な増加だったというべきだろう。人口推移の表をながめると、一つの時代が終わった感を強くする。

この1年間の比較で増加したのは65歳以上人口で、前年比約89万人増加して3379万人となり、国民4人に1人という計算。節目が変わり、いまや「世界のどの国もこれまで経験したことのない高齢社会を迎えている」(内閣府)。

今回の国勢調査で、高齢者や外国人のほかに5年前と比較して増加しているのは世帯数だ。総人口減少にもかかわらず、世帯数は2010年の時点より145万世帯増えて、1世帯当たり2・38人となった。1970年は3・45人だから、世帯規模も著しく縮小した。

この50年から100年の間、宗教界も敗戦、農地解放、高度経済成長、バブル崩壊と様々な大きな変動を経験してきたが、大きな底流としての人口増から減への転化、少子高齢化の影響は永続的でもっと深刻だろう。宗教的真理の価値は変わらないとしても、伽藍や教団制度などを支える社会的基盤の変化を無視できない。

国勢調査では東京・神奈川・埼玉・千葉の「東京圏」に人口の4分の1が集中し、「地方創成」の声をよそに、地方過疎化、東京一極集中が一層進んでいることを示す。古くからの地域社会を存立の基礎とする寺社にとって、極めて厳しい傾向だ。

むろん、以上に述べたようなことは何も目新しい知見ではない。これまでも繰り返し指摘されたことで、まだ対応策は見えてこないが、宗教者自身がその意味を最も深く身に染みて感じている。

今後数十年の変化は、何よりもまず伝統宗教に重くのしかかってくるだろう。右肩上がりの社会の変化と軌を一にして、宗教団体の中にも体質変化が生じていた。この際、まず宗教者が率先してそれを見直す必要がある。