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「宗教問題」の重さ 情報理解力養成の必要

2015年12月23日付 中外日報(社説)

今年は宗教に関しては気の重い出来事の方が多かった。なんといっても、「イスラム国(IS)」が世界に与えた衝撃は大きい。すでに日本にも直接関わる事件が起きているが、今後さらにISの問題が大きな影響をもたらす可能性がある。

1月7日にはパリで『シャルリ・エブド』誌銃撃事件が起きたが、これは同誌の悪趣味ともいえるような風刺画の内容も知られていたので、一部の過激イスラム教徒のテロという見方も強かった。しかし11月13日に起こったパリの同時多発テロは、多くの市民を巻き込んだ無差別攻撃であり、ISの残虐さを世界に示した。

ISの脅威は日本にも及んでいる。1月20日には日本人2人がISの人質となり、日本政府に対し身代金の支払いを求めた。政府が有効な対応策を見いだせないまま、2人は間もなく殺害されたことが分かった。この事件には安倍晋三首相が1月17日に、ISによる難民が発生している諸国に対し総額2億ドルの支援を表明したことと無関係ではない。ISはこれを「自ら進んで十字軍に参加した」ものとして非難し、自分たちへの攻撃と解釈したからである。

昨年は英国国教会が初の女性主教を選任し話題となった。今年はイスラム圏でも女性の地位向上への注目すべき動きが見られた。女性が車を運転することさえ禁じるサウジアラビアの12月の地方議会選挙で、女性議員が初めて誕生した。全2106議席中わずか17議席と1%に満たないとはいえ、画期的であるのは間違いない。

国内では1995年3月のオウム真理教による地下鉄サリン事件から20年で、テレビ番組の特集が組まれ、カルト問題に関心を抱く人たちを中心としたシンポジウムが開かれた。宗教情報リサーチセンターからは『〈オウム真理教〉を検証する』という注目すべき本が8月に刊行された。

95年度以来本年度まで12回にわたって実施されてきた学生の宗教意識調査の報告書が出たが、非常に興味深い。ISの報道が関係しているのであろうが、モスクに対して不安を抱く学生の割合が、3年前に比べて明らかに多くなっている。日本に建てられたモスクは現時点ですでに80カ所を超える。これ以上不安が高まらないように、宗教文化教育を充実させることなどが必要である。

オウム真理教に対しては、裁判報道や20年目の報道が関係していると思われるが、関心や知識は3年前より高まっている。それだけに若い世代の宗教情報リテラシーの養成が強く求められる。