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終戦70年アンケート 問われる「平和を語る資格」

2015年8月7日付 中外日報(社説)

本紙は終戦70年に当たって宗教教団の戦争協力責任の総括など4項目の質問からなるアンケートを行い、伝統仏教、新宗教、教派神道、キリスト教の17教団から回答を得た。その中で、間もなく発表される安倍晋三首相の「終戦70年談話」に何を期待するかについて意見を求めた。

閣議決定を経て1995年に発表された村山富市首相の「終戦50年談話」は、植民地支配と侵略でアジア諸国に多大な被害と苦痛を与えたことを謝罪し、これ以降の歴代内閣は「村山談話」を踏襲している。

安倍首相も「『村山談話』を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいく」と明言するが、「植民地支配と侵略」などの文言を盛り込むことには否定的とみられている。

安倍政権は集団的自衛権の行使を可能にする安保法制の整備を進めており、今回の首相談話もそうした路線の一環に位置付けられるものになるだろう。

自民党と連立政権を組む公明党の支持母体、創価学会の広報室は「これまでの歴代首相談話を継承して今後も平和国家として歩んでいくという日本の決意が、国民や近隣諸国、国際社会にも伝わるものであること」を望み、浄土真宗本願寺派は「過去の歴史を振り返るという視点を失わないで頂きたい」と、「未来志向の談話」と繰り返す首相に注文を付ける。

真宗大谷派は「先の戦争で私たちの国が被害を与えた国々の方々と真摯で積極的な『対話』が実現する契機となること」を要望。臨済宗妙心寺派は「日本の幸福だけを願うのではなく、共存共栄の精神で世界平和の実現に資する内容であること」を期待する。

曹洞宗、日蓮宗、カトリック教会、日本基督教団は、談話への要望という形ではないが、集団的自衛権など戦争につながる動きに対して警戒感を示した。

国民の間で賛否が分かれる問題に対し、まとまった形で意見、見解を表明することに慎重な姿勢の教団もあった。教団内には様々な考えを持つ人たちがおり、政治的な問題で、ある一定の方向性を示すことが難しいのも事実である。

しかし、多くの教団は、先の大戦で人の命を奪う戦争遂行に協力した“負の歴史”を背負っている。日本が再び「戦争のできる国」になるかもしれない状況で迎える今年の「8・15」。首相談話を含め、この国の今、そして将来に対して宗教界はどのようなメッセージを発信できるのだろうか。「平和を語る資格」が問われる70年目の夏だ。