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世論の危うい兆候 政策の賛否と内閣支持率

2015年4月29日付 中外日報(社説)

世論調査の結果を見ると、個々の重要問題についての市民の判断と内閣支持率が食い違ってきている。4月20日付『日本経済新聞』によると安倍内閣支持率は52%と高いものの、原発再稼働、集団的自衛権、普天間基地の辺野古移設、消費税引き上げ等の重要政策ではいずれも政府の政策に反対する意見が多数であることを示している。

集団的自衛権の関連法案の今国会成立に「賛成」は29%、「反対」は52%である。公明党支持層でも反対が多い。米軍普天間基地の辺野古への移設計画を「計画通りに」進めるは36%、「見直すべきだ」は47%である。原発再稼働は「進めるべきだ」が30%、「進めるべきでない」が58%となっている。一方、経済政策は支持されているのかというと、「景気回復」について「実感している」は16%、「実感していない」が78%を占める。

この結果が国民の意識を反映しているとすれば、国民は政府の政策には賛成していないが、安倍政権そのものは支持していることになる。また、安倍政権は国民が反対している政策を「粛々と」実行しようとしていることになる。

これは民主主義として健全な在り方だろうか。そうではない。では、どうしてそうなってしまうのか。どう変えていくことができるのかが問題になる。いずれも重い問題で簡単には答えが出ない。だが答えを出すべき問いである。

それはさておき、もし代議制民主主義が適切に機能しておらず、民意を反映しない政治が行われているとすれば、そこでは圧政と感じられる機会と度合いが増すはずである。それは米軍基地の辺野古移設問題をめぐる沖縄住民の思いを想像すればすぐに理解できる。また、圧政と感じられているからこそ国民は支持していない。そう受け止めるような柔軟さが、健全な民主主義国家の政府には求められる。

圧政という受け止め方が強まることと、報道の自由、思想・信条の自由、信教の自由が危ぶまれることにも関係がある。宗教教団はこの問題について忘れられない歴史を経てきている。自由に物が言えなくなり、伝えられなくなる時代を経て、無謀な戦争へと突き進んでいったという歴史を身をもって経験してきているからだ。

圧政が進み、徐々に市民の自由な思考や信念が抑圧されるようになった。そして、やがて多くの国民が無謀な戦争政策にも歓呼して応じるようにもなったのだった。

これは宗教者に問い掛けられる心の問題、良心の問題でもある。