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宗門女性の活躍へ まず声に耳を傾けよ

2015年3月13日付 中外日報(社説)

「国際女性デー」の8日、女性の権利擁護や社会参加を目指す運動が今年も世界各地で展開された。この日は女性の参政権を求めた20世紀初頭の米国での運動を起源としている。戦後70年の今年、日本では女性の参政権獲得70年、国連の女性差別撤廃条約を政府が批准して30年になる。

安倍政権が「女性が輝く社会」の実現を重要政策に掲げる中、女性の社会進出を後押しする動きが進んでいる。

政府は2月20日、企業や国、自治体に女性登用の数値目標設定と公表を義務付ける「女性の活躍推進法案」を閣議決定した。昨年の臨時国会で審議入りしたが、衆院解散で廃案になっていた。今国会に再提出し早期の成立を目指す。

宗教界、特に伝統仏教教団では、女性の登用は最も立ち遅れた分野の一つであり、多くの教団で議論が進んでいないのが現状だ。

新宗教教団ではすでに女性がトップに就き、また近い将来の就任を予定する教団がある。伝統教団でこうした動きはほとんど見られないが、真宗大谷派では1月、女性初の参務が誕生し、内局入りした。女性の内局員は他教団ではほとんど例がないとみられる。里雄康意・宗務総長は「女性だからではなく、本人の実績と経験で選んだ。結果的に女性が活躍できる宗門だと内外に伝わればありがたい」(本紙1月7日付)とする。

「同朋教団」を掲げる大谷派は宗門内の女性の地位向上に力を注ぐ。男女が平等な立場で共に宗門の運営に参画する「男女両性で形づくる教団」の実現に向けて1996年、宗務機構の中に「女性室」を設置。機関誌発行や講座開催など問題提起、啓発活動を続けてきた。その大谷派でも宗議会議員65人中、女性議員は4人、住職は7600人中、132人(昨年7月1日現在)にすぎない。他の教団は推して知るべしだろう。

女性僧侶・教師、坊守・寺庭婦人など宗門女性の位置付けや、組織・制度、教学、儀式・作法などの見直しは今後、どの教団も不可避の課題となるはずだ。

名古屋工業大大学院教授で仏教とジェンダーが専門の川橋範子氏は「問題は、多くの教団で女性たちにとって重要なことが、彼女たちの主体性を離れた場所で男性指導者によって決められてしまうことと、男性たちがそれに疑問を持たないように見えること」(女性室広報誌『メンズあいあう』第5号)だと指摘する。

女性の登用・参画は一足飛びには進まない。まずは宗門女性の声に耳を傾けることから始めるべきではないか。