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宗教系大学院の連携 宗教間教育の効果に期待する

2014年11月21日付 中外日報(社説)

京都の宗教系大学の大学院が中心となって単位互換制度が設けられている。京都・宗教系大学院連合(K-GURS)として9年前に発足。大谷、高野山、種智院、同志社、花園、佛教、龍谷の7大学の宗学・神学関係などの大学院および大学を加盟校とし、その後、三重県伊勢市の皇學館大が加わって、地域、宗教の枠を超えた広がりを持ちつつある。

「宗教間教育」の理念のもと、単位互換だけでなく、研究会、院生発表会なども実施しているが、「自らが帰属する宗教的伝統だけでなく、他の宗派や宗教についても認識を深める」ことが狙いだ。「宗教間対話」という大きな流れの中に位置付けられる実践の一つであろう。

9月に京都・同志社大で開催された日本宗教学会の学術大会では、K-GURS参加の諸大学の研究者によるパネル「宗教多元時代における宗教間教育の実践とその課題」が開かれた。そこで、同志社大神学部の小原克博教授は「宗教間教育」の姿勢を、宗教多元論の概念を用いて「排他主義を克服しようとする包括主義に近い」と説明。「自らの信仰の立場を大切にしつつ、他の信仰と関係をもつ」と解説している。

グローバル化が進み、異なる信仰の人々がさまざまな状況で接触する機会が急速に増えてきた。それぞれの宗派・教派の次代を担う若者が、他の信仰の在り方を学び、幅広い知見のもと自らの信仰や教学についての学識を深めることは、現実的に求められている、といってよいだろう。

「自らの伝統の輪郭をより広い社会的コンテキストのなかで描き出し、社会とのインターフェイスを拡充する」(小原教授)ことができれば、宗派・教派の教学や実践にも好ましい刺激を与えるに違いない。

と同時に、もう一つ期待したいのは、学生数減少が問題化している宗教系・宗学系学部学科へのテコ入れ効果だ。宗派・教派の後継者候補である若者が、宗学系学部学科へ進学せず、有名大学に流れる傾向は、このままでは変わらない。

制度的に宗教系・宗学系学科への進学を誘導するのも有効だが、学生を集めるためには、まず魅力ある学びの場であらねばならない。

京都は大学コンソーシアムの単位互換の先進地だ。こうした実績も踏まえたK-GURSのような試みは、今後の展開次第だが、特に後継者養成コースの魅力アップのため、効果的な方法になり得るのではないか。