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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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エボラ熱拡大 正しい知識で備えよ

2014年11月19日付 中外日報(社説)

エボラ出血熱の感染拡大のニュースが続いている。日本でも先月から、西アフリカに滞在歴のある入国者が発熱の症状を訴えて検査を受けるケースが相次いでいる。結果はいずれも陰性だったが、感染者は西アフリカ以外にスペインや米国など欧米にも広がっている。感染のリスクは世界規模で高まっており、国内の関係機関にも万全の防護体制を求めたい。

日本の宗教界にも支援や対策を考える動きが広がりつつある。立正佼成会は8月末、国連児童基金(ユニセフ)の要請を受けて同会の「一食ユニセフ募金」からリベリアに21万9305ドル(約2353万円)の緊急支援を行った。

大本本部は10月23日から、世界平和、東日本大震災復興などと共にエボラ出血熱の「早期終息」を祈願する祝詞を朝礼時に奏上している。広報担当者は「現地でのボランティア活動は難しいので、まずは祈りから始めた。今後は現地の医師団への支援などを検討したい」と話す。

国際宗教同志会(大阪市)は同6日、勝田吉彰・関西福祉大教授を講師に招き、エボラ出血熱について話を聞いた。勝田氏は社会の指導的立場にある宗教者がまず正しい知識を身に付け、社会に発信することを望んだという。

厚生労働省によると、エボラウイルスへの感染は患者の体液や体液に汚染された物質(注射針など)に触れ、ウイルスが傷口や粘膜から侵入することで起こる。2~21日(通常は7~10日)の潜伏期の後、突然の発熱や頭痛、次いで嘔吐や下痢、出血等の症状が現れる。

現在、ワクチンはなく症状に応じた対症療法が施されている。一般的に、症状のない患者からは感染せず、空気感染もしないという。インフルエンザのように簡単にヒトからヒトに感染する病気ではない、とみられている。

飲食店がアフリカ人の入店を拒否したり、西アフリカの選手団が「差別」を受けたとしてスポーツ大会の参加を辞退するなど、海外からはエボラ出血熱をめぐる偏見や風評被害が伝えられる。米国では流行国からの帰国者に対する強制隔離策が批判を浴びた。

日本で感染が確認された場合は、まず政府の正確・迅速な情報提供と水際対策が求められるとともに、社会がいたずらにパニックや差別を引き起こすことのないよう宗教界も留意しておく必要がある。流行国への支援とともに、日本での患者発生に備え、宗教者一人一人が病気への正確な知識と理解を深めるよう足元から取り組みを始めたい。