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グローバル時代の宗教学 宗教の素養ある人材育成を

2014年10月17日付 中外日報(社説)

日本宗教学会学術大会が9月上旬に同志社大を会場として開催された。初日には公開シンポジウムが開かれたが、そのテーマは「宗教と対話――多文化共生社会の中で」だった。開会に際して同大の村田晃嗣学長のあいさつがあり、その中でグローバル化時代に適切な人間を育てる上での宗教についての素養の重要さを強調した。

村田学長は政治学が専門であるが、グローバル化の進む現代においては、世界の動向を理解していく上で、宗教に関する素養が必須であるとし、大学全体としてこの課題に取り組んでいることを述べた。グローバル化への対応といって、もっぱら英語教育の充実だけを考えていれば済まされる時代ではないということだ。

実はこのような視点は、日本宗教学会と「宗教と社会」学会が連携機関となって進められている宗教文化教育の試みとも大きく重なるものである。

シンポジウムは、宗教学会のメンバーだけでなく政治学や国際法、社会福祉学の専門家を講師として開催された。昨年に引き続き多様な研究分野のネットワークの形成を目指す姿勢を示すものであった。宗教研究の幅を広げていこうとする試みが着実に広がっていることが感じられる。

昨年、國學院大で開催された日本宗教学会学術大会では「ネットワークする宗教研究」のテーマで、3人の講師が講演した。そのうちの2人は日本宗教学会の会員でなかった。1人は比較神話学の分野で野心的な試みをしているハーバード大のヴィツェル教授であり、もう1人は進化生物学の分野で著名な総合研究大学院大の長谷川眞理子教授であった。

この講演会をもとにした書籍が先ごろ『21世紀の宗教研究』(井上順孝編、平凡社)として刊行された。サブタイトルの「脳科学・進化生物学と宗教学の接点」から分かるように、宗教研究のネットワークを自然科学にも求めていることが見て取れる。

宗教研究者がグローバル化の現象に注目するとき、グローバル化が宗教にどのような影響を与えているのかというテーマが中心的になる。だが、グローバル化していくのは研究対象だけではない。研究の在り方、研究者を包む環境もまたグローバル化しているのだ。

この点を深く考慮して、日本の教育においては宗教についての学びをもっと重視すべきであるという立場をとるなら、研究者、教育者自身が宗教の学びについて、従来よりもはるかに幅広い視点から臨む必要があることを認識せざるを得ないことになる。