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人口減少時代の寺院 過疎問題でさらに議論を

2014年10月1日付 中外日報(社説)

人口の都市集中、地方の過疎・高齢化とともに、「限界集落」という概念がメディアでも注目されるようになったのは1990年代からのようだ。「限界集落」の過疎化がいっそう進むと「超限界集落」になり、さらに「消滅集落」に至るという。

国立社会保障・人口問題研究所が2年前に発表した「日本の将来推計人口」によると、日本の人口は2030年には1億1662万人、48年には1億人を割って9913万人に、60年には8674万人になるという。2010年から起算して50年間で4132万人の減少が見込まれている。

単に人口が減るだけではない。出生率低下で人口構成比は高齢者に偏り、60年には65歳以上の人口が約4割を占めると考えられている。若年層も東京など大都市圏に集中する。

都市に住んでいると過疎の深刻さはさほど痛切には感じないが、わずか半世紀で日本の社会、特に地方の小都市、村落などは決定的に様変わりしてしまう可能性は高い。対馬や壱岐、佐渡などは最近、全島で一つの市になってしまったが、40年ごろには市町村合併で自治体の数も今の半分になる、という見通しもなされている。

寺院の数が近い将来、大幅減少するのは不可避だろう。各宗門は無住・兼務寺院の将来について真剣に検討しているが、人口4千万人減の影響は、現在の無住・兼務寺院対策の枠組みで考えられている以上に深刻なものとなるはずだ。

人口が減少した地方では、すでに檀徒で寺を支えることが不可能になりつつある。一方で大都市圏に新たに流入した若年層が旧態依然の寺檀関係に自ら身を寄せる状況はなかなか想像しにくい。

生老病死の悩みがなくなるわけではない。心の悩みの緩和や救いを仏教に求める人はこれからも少なくないだろう。伝統仏教でもそのことは十分認識され、都市開教への挑戦はこつこつと続けられている。しかし、その努力は現状を見る限り、社会のドラスティックな変化には追い付きそうもない。

各宗派の議会などで過疎問題が論じられても、近未来のシミュレーションに基づく具体的な突っ込んだ議論はあまり表面には出てこないようだ。しかし、そろそろ人口減少時代の寺院の在り方に正面から向き合うべき時期だと思われる。

伝統仏教教団にとっては廃仏毀釈や農地解放を上回る危機だが、対応次第では仏教が生まれ変わるチャンスでもある、と前向きに考えたいものだ。