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ゆっくりと伝わる評価 表裏なき振る舞いの積み重ね

2014年9月19日付 中外日報(社説)

NHK放送文化研究所が5月に発表した「第9回『日本人の意識』調査」に興味深いデータがある。「天皇に対して、現在、どのような感じをもっているか」という問いへの回答の変化である。

調査自体は、2013年10月に実施されたものだが、「好感をもっている」が35.3%で最も高い。次いで「尊敬の念をもっている」が34.2%である。尊敬の念をもっているという回答は、1998年の第6回の19.1%から増加し続け、今回が過去最高となった。

「尊敬」と「好感」の関係を少しさかのぼって見てみると、88(昭和63)年の調査、つまり昭和天皇の時代であると、「尊敬」が28%で「好感」が22%である。73年であると「尊敬」がさらに多くなり33%で、「好感」は20%である。

平成時代になって初めての調査は93(平成5)年であったが、この時は「好感」が43%で、「尊敬」が21%であった。しかし、2008年の調査で「好感」と「尊敬」の差が9%に縮まり、今回はわずか1%ほどの差になったということである。

これを要するに、昭和天皇から今上天皇に代替わりすると、尊敬イメージよりも好感イメージが多くなったが、最近では尊敬イメージが急速に高くなってきたということである。

この背景にあるものは何であろうか。おそらく災害やその他、人々が苦しみや悲嘆の中にあるとき、現場を訪れ、心から慰めの言葉を掛けられる姿の影響が少なくないと思われる。これはしばしば政治家たちが、災害その他に際して示すあまりにお粗末な態度とは明確な違いである。

平和の祈願、災害地への見舞い、そうした折の皇室関係者や政治家の言動は広く報じられる。むろん現場にいる人たちは肌で感じることができる。心から相手の境遇に同情し、慰めようとする態度と、おざなりの、それこそコピペに近い文章を読み上げるなど、その場しのぎに近い態度とでは、受け手の印象は大きく異なる。言葉で一時的にごまかそうと、しだいにそれは多くの人に分かってくる。

各種のメディアが発達した時代になったので、宗教界も発信の仕方には注意を向けるようになった。人目を引くキャッチフレーズとかパフォーマンスといったものに注意がいったりするが、この意識調査からも推測されるように、表裏なき振る舞いの積み重ねこそが、しっかりとした評価の土台になると考えるべきであろう。