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宗教法人制度の信頼性 適切な不活動法人対策を

2014年5月30日付 中外日報(社説)

文化庁宗務課の予算で各都道府県の不活動宗教法人の調査が始まって4年目になる。最初に着手した京都府は3年間の調査を終えて、報告書を文化庁に提出。東京都は調査事業の最終年度で、大阪府は昨年度から着手している。

宗務課によれば、2012年12月末現在で不活動宗教法人数は3837。1999年時点では約4700だったというから、行政や包括法人などの努力が効果を挙げていると言っていいだろう。

むろん数はまだ多い。なぜこんなに?という疑問は当然湧き起こるが、不活動状態に陥った宗教法人にとって、任意解散手続きはなかなか厄介だ。包括法人の不活動法人対策への取り組みにも温度差がある。例えば創建、護持の由緒来歴を持つ寺院を行政側が求める不活動法人整理という名目でつぶしたくないという思いを語る宗派幹部もいる。

しかし、法人解散・合併は社寺の歴史そのものを抹消することではない。祭祀は別の社寺が引き継ぐことができるし、法人格が解散や合併をしても、必要ならば教団内部の登録や記録で名義上存続させることは不可能ではあるまい。包括法人側の責任として不活動法人対策にはいっそう積極的に取り組むべきだろう。3800以上の実体のない法人が存在すること自体、宗教法人制度さらに言えば宗教そのものに対する社会的不信をかき立てる原因になる。

さらに、東京や大阪の調査で不活動の疑いがある「グレーゾーン」の法人の存在も浮かび上がってきた。これらは包括法人から見れば再活性化、次代への継承の可能性をより多く残す存在だ。合併・解散だけが不活動法人対策ではない。被包括法人が不活動に陥らないような施策が同時に必要とされる。

ところで、以前にも指摘したことだが、不活動宗教法人を「不正行為の温床」として特に糾弾するのは妥当とはいえない。現実に法人売買はあり、不活動法人がその対象となる可能性がないわけではないが、それは「不活動」ではない宗教法人でも同様で、「売り手」がいる後者の方がむしろ売買は成立しやすい。

「不正行為の温床」論は行政サイドからもアナウンスされ、実態から離れて独り歩きし、宗教のいかがわしさを象徴するようなイメージが拡散されている。行政側がそれを強調する理由が何であったかはともかく、宗教法人や宗教法人制度そのものの信頼性を失わせるのが目的ではないはずだ。

不活動法人対策の意義はもう少し適切に説明されるべきだろう。