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食品ロスの削減へ まずは意識改革を

2014年3月18日付 中外日報(社説)

品質に問題がないのにメーカーや店頭、家庭などで廃棄される食べ物を減らす取り組みが官民で活発化してきた。

農林水産省の推計では、企業と家庭から出る食品由来の廃棄物は国内で年間約1700万トン。このうちまだ食べられるもの、いわゆる「食品ロス」は500~800万トンに上る。日本のコメ収穫量約850万トンに匹敵する数字だ。

食品ロスは食糧・環境問題や貧困問題に関わり、先進国で大きな課題になっている。欧州議会は2014年を「ヨーロッパ反食品廃棄物年」とし、20年までに食品ロスの半減を目指す。

日本政府も関係省庁が連携し、昨年から「食品ロス削減国民運動」を展開。運動のロゴマークを制定するなど啓発に本腰を入れ始めた。食品ロスの原因となるメーカー、店舗での過剰在庫や、賞味期限が残り3分の1を切ると店頭から撤去される「3分の1ルール」をはじめ返品に伴う商慣習の見直しなど、検討を進めている。

消費者側の意識改革も求められる。外装に少し傷があるだけでメーカーに返品され、廃棄されてしまうなど、世界的に見ると日本の消費者には過度の安全・安心・清潔志向があると指摘される。食べ残しを減らし、食べ物への感謝の心を持つなど、食への意識を高めることが必要だ。

メーカーや小売店から廃棄される食品・食材をもらい受け、福祉施設や生活困窮者に提供するフードバンク活動も各地に広がってきた。アメリカで45年前に始まり、日本での歴史はまだ十数年だが、東日本大震災をきっかけにその役割が注目されるようになった。

日本に約30あるフードバンク団体の一つ、NPO法人フードバンク山梨(山梨県南アルプス市)は6年前の設立。地元企業などと契約して食品を譲り受け、施設・団体に配布する。宗教界では地元の曹洞宗寺族会や日蓮宗寺庭婦人会、カトリック教会が活動を支援し、会員、信者に呼び掛けて食品を集め、同法人に提供している。

フードバンク団体は宗教界からの支援の広がりを期待する。同法人の米山けい子理事長は「生活困窮者が増えており、フードバンクの役割は増している。お寺は日本各地にあり身近な存在。活動に協力してもらえれば、お寺自身の活動を広げ、社会につながっていくことにもなると思う」と話す。

食品ロスの発生はさまざまな要因が複雑に絡んでおり、削減の特効薬はない。一人一人が問題に目を向け、食への意識や生活様式を問い直していきたい。